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松田聖子を育てた伝説のプロデューサーが
「豊洲の女」をプロデュースで話題に!

東京都議選直前。小池百合子都知事の運命やいかに…

 

「豊洲の女」と現代人の心のさもしさ

 

三沢 女性は化粧で糊塗できるところがありますが、あまりにもベースが衰えてくると糊塗しきれなくなる。「過去の記憶を糊塗したところで 見極められないジャンヌダルク」という部分もそうですよね。

適菜 そうです。小池の厚化粧にケチをつけているというより、比喩的な意味があるわけです。

三沢 わかります。適菜さんがこの詞で書いてらっしゃるのは、表面的なことではなくて、本質を糊塗してごまかそうとする人間についてです。でも見えている人には見えているんだと。

適菜 隠そうとすると、余計に見えてしまうものもある。

三沢 なるほど。「豊洲の女」の歌詞は、小池百合子という女性を歌ってるようで、現代人の心のさもしさを浮かび上がらせているとも言えますね。

適菜 中心が空虚なので、世間とか空気とか世論の動向にただ流されている。こういう根無し草のような存在を、スペインの哲学者オルテガは、浮標のような人々と言いました。

三沢 藤井さんは「関西の笑いの文化はボケとツッコミだ。この曲は小池現象に対するツッコミなんだ」とおっしゃっていました。

適菜 そうですか。藤井さんはその辺わかってくれているんですね。最近、私がよく例に出すのが、ニーチェのワーグナー批判です。

三沢 ドイツの作曲家のワーグナーですね。

適菜 ワーグナーはニーチェの師匠のような存在ですが、ニーチェは極めて口汚く批判した。それはワーグナーという人間を批判するというより、ワーグナーに表層される「ドイツ文化の虚偽」を批判したわけですね。要するに、ワーグナーという個人を拡大鏡として利用することで病の本質が見えてくると。

三沢 なるほど。

適菜 世の中の問題はなかなか掴みづらい。空気は透明だし、世論の動きも見えない。しかし、それを象徴してるような人物を論じれば大分わかりやすくなります。先日、『安倍でもわかる政治思想入門』と『安倍でもわかる保守思想入門』という本を出したんです。

三沢 存じ上げております。

適菜 表層的には安倍の言葉を批判したり、政治や保守思想の解説をした本ですが、安倍を引きずり降ろせば一件落着という話ではなくて、今の世の中の空気、社会の病が、安倍に表象されているという話です。

三沢 そうなんですね。大阪の橋下徹もそうなのでしょうか?

適菜 そうです。社会の歪みが橋下という形で表出した。今回の「豊洲の女」も、小池的なもの、それを支持する社会の空気を描写しておいたほうがいいと思った。大衆社会を分析した文章は書いているのですが、それにメロディーをつけて、いろいろな角度から攻めたほうがいいかなと思ったんです。

三沢 なるほど。新しい形の現代社会批判ですね。

適菜 そこに、三沢さんの声がぴったりはまった。

三沢 言論としての意味と、もう一つ、音楽としても完成度が高いと評価をいただきました。カップリング曲の「逆賊ブルース」は、天才編曲家でバンドマンでもある多田三洋さんがやっています。次回の対談では、この「逆賊ブルース」を書かれた意味についても、適菜さんにお聞かせいただきたいと思っております。

適菜 わかりました。よろしくお願いします。

 

《「豊洲の女」プロモーション動画はこちら》

 

ニコニコ動画  http://www.nicovideo.jp/watch/sm31403961 

 

youtube  https://www.youtube.com/watch?v=XBlUEeTdHTk 

 

(対談者プロフィール)

 

三沢カヅチカ

年齢不詳。ブルースシンガー。関西の某一流企業のサラリーマン。アフター5で、関西のライブハウスなどでブルースのボーカルをやってきた。ギターでバンドに参加することもある(その場合は、別の芸名SATOでギターを弾いている)。藤井聡京大教授とは音楽仲間。今回、藤井からの声かけで、三沢カヅチカとしてデビューすることになった。

 

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作詞家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』(講談社)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、『死ぬ前に後悔しない読書術』、『安倍でもわかる政治思想入門』『安倍でもわかる保守思想入門』(以上、KKベストセラーズ)、中川淳一郎との共著『博愛のすすめ』(講談社)など多数。

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