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茨城県稲敷市、田園地帯にぽつんと立つ道路標識がとんでもなくレア物だった

世にも奇妙な道路標識 第2回

ドライバーを除いては、ほとんどの人が意識をすることがないであろう「道路標識」。だが日本全国には、知られざる奇妙珍妙な道路標識があった! マニアでなくともニヤニヤせずにはいられない、奥深い世界をご堪能あれ。

 道路標識のレア物を追いかける本連載、第2回は「優先道路」である。レア標識といってもいろいろあり、そこらを走って探せば1枚くらいは見つかるかなというものから、普通に暮らしているとまず一生に一度も見ずに終わるであろうものもある。今回の「優先道路」は、おそらくまず偶然見かけることはないレベルのレア品だ。

 図1が、その「優先道路」標識だ。文字通り、いま自分の走っている道が優先的に通行可能な道であることを示す。細い横棒が交差する道路、縦の矢印型の太い線が、自分のいる優先道路であることを表している。といっても、この標識を街中で見かけても、これが何を意味しているかわかる人はあまりいなさそうではある。

写真を拡大 図1「優先道路」標識

 

 読者のみなさんもご存知の通り、信号のない交差点では広い方の道を走る車に優先権があり、狭い方の道から来た車は、徐行または一時停止をしなければならない。このため、狭い道の方には一時停止線のペイントか、または「止まれ」の標識が設置されている。優先道路を走る車は、特に何もせずさっそうと走り去ればよいわけだから、こちら側には標識は必要ないはずだ。では、この標識は何のために存在しているのだろうか。

田園地帯の「優先道路」

 この珍しい「優先道路」標識が、茨城県稲敷市に設置されているという情報があったので、行ってみることにした。場所は霞ヶ浦の南、千葉県との県境に近い、一面の田園地帯のただ中にそれはある。

 貴重な標識というのに、足元に妙なポスターがくくりつけられたままなのが何とも嘆かわしい。この他、交差点の向こうにももう一枚の標識があるので、ここには2枚の「優先道路」標識が設置されていることになる。しかしここだけ見ると何の変哲もない交差点であり、なぜわざわざ珍しい標識が立てられたか判然としない。

 が、この道路と直交する道、上の写真でいえば左右方向に通っている道の側から見てみると、ちょっとぎょっとするような状況である。

 一時停止の標識が立てられているのはもちろん、路面にも「止まれ」の文字、さらにゼブラ模様の横線がペイントされている。左右には蛍光テープを貼ったポールが道幅を狭めるように立ち、路面には反射材が仕込まれた道路鋲が多数埋め込まれている。とどめは左方に立てられた「危険 死亡事故多発交差点 一時停止厳守」の黄色い看板だ。何としてもここを通る車を一時停止させようという切迫感に溢れた、実にものものしい雰囲気なのである。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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