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「寿松木」「鈴置」「進来」……「すずき」さんにはこんなに種類があった

珍名さん万歳!②

日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 

 日本の名字の中で特に多いのが「すずき」である。「すずき」と聞けばほとんどの人が「鈴木」の名字を思い浮かべることと思うが、今回紹介する「すずき」さんは「寿松木」と書く。元々「鈴木」であったものが、いつの時代かに文字を変えて「寿松木」になったようだ。「鈴木」から「寿寿木」に変え、さらに寿の縁起の良さと、お正月の松の縁起の良さを組み合わせて「寿松木」になったものと考えられる。 

 鈴木の名字は、紀州和歌山の熊野神社が発祥で、熊野地方では神に捧げる稲穂のことを「すすき」と言い、「すすき」の言葉に「鈴木」の文字を当てたものである。熊野神社の神官が「鈴木」の名字を名乗り、やがて熊野信仰を広げるために熊野から東国に向けて普及活動を行ったことから東日本に「鈴木」の名字が広まった。

 鈴木氏の総本家とされるのが和歌山県海南市の藤白神社の神官である鈴木氏である。鈴木さんの中には文字を変えた方も多く、寿松木以外にも、寿々木や鈴置・鈴喜・鈴記・鈴樹・鈴城・鈴来・鈴紀・鐸木・須々木・進来等、数々の「すずき」の名字がある。

 寿松木さんの悩みは、やはり名字を正しく読んでもらえないことで、ある時は、病院で診察の順番を待っていたら、看護師さんに「じゅまつき」さんと、呼ばれたそうだ。また、寿松木さんは俳優なので、「寿松木」を芸名と勘違いされることも多いと漏らしていた。

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高信 幸男

たかのぶ ゆきお

名字研究家



1956年、茨城県大子町生まれ。高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。


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