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捨てられない「思い出の品」をどうするか?

暮らしを整える片づけの極意②

「もったいない」という気持ちはもちろん大事で一概に悪いとはいえない。しかし、収納スペースには限界がある。モノはきちんと使い、捨て時には決断が必要となる。そこで、モノの捨て時と片づけの極意について、収納スタイリスト・整理収納アドバイザーの吉川永里子さんにお話を聞いた(『一個人』2017年7月号より)。

◆思い出の品もきちんと厳選し、スペースを定めて保管する

 

 私たちにはそれぞれ所有するモノの適正量があり、整理、収納、循環の3ステップを踏むとそれが分かるのだという。一度、適正量に合わせられたならば、その量を維持する必要がある。ひとつ増やしたいならば、その分ひとつ捨てる。新しいコートがほしいならば古いコートをひとつ捨てる。単純だが、この一対一が適正量を維持していく近道となる。 

 ただし、思い出の品となるとそうともいかない。実用品と異なり、一対一で取捨選択できないのではないか。一般的に、写真、書類、手紙は整理が難しいのだという。特に写真は放っておくとすぐに増えてしまいがち。一体どうすればよいのだろうか。

「思い出は〈取っておくことに意味がある〉わけです。ただし、思い出の品は記憶を引き出すアクセスキーの役割を果たすもので、すべてを取っておく必要はありません。たとえば旅行の写真にしても、記憶のハイライトとなる写真を厳選して残しておけば、人間はそれを見て他のことも一気に思い出すものです。思い出の品も、やみくもに保管するのではなく、スペースを定めて、最大限の量は決めておく必要がありますね」。 

◆片づけはゴールではなく、ポジティブな生活への通過点 

 家の中でまとまった片づけに取りかかるならば、まずはキッチンやクローゼットからというのが吉川さんのおすすめだという。
「スペースが目に見えて分かるのと使用頻度がとても高いので、片づいた時に達成感がありますよね。その点、納戸や物置は向きません。まずは格段に使いやすくなったのを〈体感〉することが重要です」。 

 それでも、どうしても腰が重くて片づけに取りかかる気になれない、という人に向けて吉川さんは最後にこう説いてくれた。
「私たちは生活を豊かにするためにモノを手にするわけです。だから、モノに悩ませられることは、何と本末転倒かと思いますね。片づけはゴールではなく通過点に過ぎません。片づけの先には、仕事がはかどったり、時間に余裕が生まれたり、夫婦円満になったりとポジティブな日常生活が待っています。片づけの力はスポーツや計算と同じ。きちんとした練習をすれば必ず上手になれますよ。大丈夫です!」。

『一個人』2017年7月号より構成〉

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吉川 永里子

よしかわ えりこ

自らも片づけ下手だった経験を活かし、「片づけはストレスフリーに暮らす近道」をモットーにアドバイスを行う。各メディアや講座で活躍する一方、個人宅対象の整理収納サポートも好評。


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