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「ミニマリスト」とは何か?

インタビュー/『最小限主義。』著者・沼畑直樹

Q. 以前ブームになった「断捨離」と「ミニマリズム」の違いは?

沼畑 断捨離もミニマリズムの重要なテーマの一つです。ミニマリズムは他に、「最小限で考える」「最小限で暮らす」「ミニマリズムの空間で過ごす」という多様性があります。

おおげさに言えば、自分の部屋がモノで溢れていても、ミニマリズムの暮らしはできるし、ミニマリストにもなれます。それはトランクひとつの旅だったり、人工物から遮断されたキャンプだったり、ミニマリズムな空間を感じるためのホテル・旅館巡りもそうです。

また、政治、予算、仕事などのいろいろなことを、最小限をテーマに考え、分析する人もミニマリストです。

私は今まで旅館の整った部屋の写真が好きで、実際に旅館巡りをしていましたが、それだけでもミニマリストだったと言えます。

 

Q. 本書にも書かれていますが、編集者の佐々木典士さんとサイト≪ミニマル&イズム≫を立ち上げたきっかけは何ですか?

沼畑 私と佐々木さんの関係は、写真集のカメラマンと編集者というものでした。私は彼と行ったクロアチアのコルチュラ島で嵐に遭い、ホテルの部屋で一人でいるときにミニマリズムを感じました。日本や自分の好きなモノ、インターネットから遮断されるというミニマリズムです。それを記事にしたところ、佐々木さんが興味を持ち、ミニマリズムの世界を追究する目的で2014年にサイトをたち上げました。

当時はミニマリスト・ミニマリズムという言葉は「モノが究極にない暮らし」をあらわすものでしたが、私たちはその幅をひろげ、最小限主義という言葉の意味を考え続けています。

 

Q. 本書はハウツー本というよりはエッセイに近い印象を受けたのですが、よくある“片付けの実用書”として書かれなかったのはなぜですか?

沼畑 私がモノを捨てる動機は、「ミニマリズムの空間性の追究」です。モノがないミニマリズムの空間が好きなのです。方法としては、それしかありません。なので、「最小限の暮らしは素晴らしい」と伝えることしかできませんでした。

また、本書の大きなテーマとして、「ミニマリズム幸福論」があります。私はこのテーマを、人の言葉ではなく、自分の経験だけで書こうと決めていました。《最小限主義》という言葉は固い言葉ですが、その向こう側には「美しい暮らし」があるということを多くの人に知ってもらいたいと思っています。

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沼畑 直樹

ぬまはた なおき

ミニマリスト。テーブルマガジンズ代表。元バックパッカー。

2013年、「ミニマリズム」「ミニマリスト」についての記事を発表し、佐々木典士氏とともにブログサイト≪ミニマル&イズム(minimalism.jp)≫をたち上げる。 著書は、小説『ハテナシ』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』(Rem York Maash Haas名義)など。


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  • 2015.11.21