打撃コーチの仕事。スランプの選手にどう対応するべきか。石井琢朗「タク論。」 | BEST TiMESコラム

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打撃コーチの仕事。スランプの選手にどう対応するべきか。石井琢朗「タク論。」

広島カープ・石井琢朗コーチの野球論、第二回

■.ゲームに勝つための指導は「いかに楽に打席に立たせるか」

 一方でゲームに勝ちたい、と考えたとき、そのための打撃とは、いかに気持ちよくゲームに入らせ、いかに楽に打席に立たせるか、ということになります。
 というのも素晴らしい技術を身につけた選手が、3割を打ちました、トリプルスリーを達成しました、といっても、そこにゲームの勝敗は関係しない。

 例えばですけど、三割バッターが9人並んだチームと二割五分のバッターが9人並んだチーム、どっちが勝つかといえば、分からないわけです。三割のバッターが並ぶチームが9イニング、毎回それぞれ一本ずつヒットを打った。3打数1安打で三割三分三厘だったとしても、それじゃあその一本がホームランじゃない限り点にならない。一方で、二割五分が並ぶチーム、4打数1安打のうち1安打をひとつの回に集中させたら、ビッグイニングになります。勝つのは二割五分のチームになるわけです。つまり、勝ち負けは打率では決まりません。極論、打率0割、ノーヒットでも点は取れるしゲームも勝てる。それが野球なんです。
 ただし、選手にとってはチームが勝っても、数字であり結果を出さなくてはゲームに出られないし年俸も上がらない。
 ですから、ゲームに生かす打撃を教える前に、しっかりとしたスキルアップも図らなければならない。 本来は、それが打撃コーチの仕事だと思います。 ただ、どっちにしてもやっぱりそこにあるのは意識なんだと思います。 それこそ、ゲームとなれば、前回も書いた「打順に重要なあとづけ論」なんかはその例だと思います。

■.結果も出してチームも勝つ、それが理想

 

 ということで、僕のコーチングスタイルは「意識」を手段に、それによって「ゲームに勝てる打撃陣」にすること。それがいまのカープにおける自分の仕事だと思っています。
 それはコーチングというよりティーチングなのかもしれません。はじめてコーチをするときは、それこそティーチングよりコーチング、だと思っていました(自分の本『心の伸びしろ』にも書きました)。けれど、いま考えると僕のしていることはティーチングのような気がします。
 こうしたスタンスってカープだからできることなのかもしれません。迎、東出と打撃コーチ三人体制を取っているので、技術的なことはふたりがしっかり伝えてくれていますし、三人で情報共有もできていますからね。ふたりにはとても感謝してます。
 結果も出してチームも勝つ。
 それが理想ですけど、自分が結果を出したい、この世界を勝ち抜きたい、ゲームで勝ちたいという意識さえあれば形はいくらでも変化もするし、また決まるものだと思います。そういう意味では、僕が選手たちに教えているのは気持ちの部分が大きいのかなと思います。【タク論。連載一覧はこちら
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石井 琢朗

いしい たくろう

広島東洋カープ1軍打撃コーチ。1970年8月25日生まれ、栃木県佐野市出身。栃木県足利工業高等学校在籍2年時に夏の甲子園にエースとして出場。1988年、ドラフト外で横浜大洋ホエールズに投手として入団。高卒1年目でいきなり初先発初勝利を挙げるものの、野手への思いが捨てきれず1992年から内野手に。以降、攻守の要として活躍。1998年には不動の一番打者として最多安打、盗塁王を獲得。チーム38年ぶりのリーグ優勝、日本一に貢献する。2009年に広島東洋カープに入団。2012年からはコーチとしてカープを支え、25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。著書に「心の伸びしろ」「過去にあらがう」(前田智徳・鈴川卓也と共著)などがありいずれも大きな反響を呼んだ。


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