そこでジョブズが判断したのは、マイクロソフトとの業務提携でした。マイクロソフトという企業、そして創業者であるビル・ゲイツは、アップルやジョブズを語る際、なにかにつけ引き合いに出される存在であり、最大のライバルでした。そんな存在と、手を取り合おうと画策したわけです。マイクロソフトから1億5000万ドルともいわれる資金提供を受けるだけでなく、Microsoft Officeのマック向け最適化をさら進め、以降のバージョンアップではウィンドウズ版とマック版を同時リリースすることなど、両社は約束を取り交わしました。  この業務提携の交渉を進める過程で、ジョブズはこのような口説き文句をゲイツに投げかけました。

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 ビル、二人を合わせるとデスクトップの100パーセントを押さえていることになる。
(桑原晃弥『スティーブ・ジョブズ名語録』より)
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 「オレたち2人が手を携えれば、パーソナルコンピュータのシェアは100%独占できるんだぜ!」と、何とも景気のいい言葉をジョブズは投げかけたのです。実際、2人合わせて100%であることに間違いはありません。しかし実態は、マイクロソフト(ゲイツ)が97%で、アップル(ジョブズ)が3%という内訳。状況的にはマイクロソフトの圧勝なのですが、まるで同格であるかのように振る舞ったわけです。「……は?」と一瞬、面食らった後に苦笑するゲイツの顔が目に浮かぶようですが、これも交渉上手と謳われたジョブズらしい口説きのフレーズといえるかもしれません。

 2000年、ジョブズはアップルのCEOに就任します。そして2001年、iTunesとiPodを引っ提げて、音楽事業に参入するのです。