憲法学者・木村草太氏に聞く。やたらと教育勅語を持ち上げる政治家のなぜ。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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憲法学者・木村草太氏に聞く。やたらと教育勅語を持ち上げる政治家のなぜ。

【教育勅語】を憲法学者・木村草太氏が徹底解説3/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます。
第一回まとめ~
・「大日本帝国のため」の教育勅語は、現在の日本国において、すでに効力を失っている。
・学習指導要領には「大日本帝国の心得を教えよ」とは書かれていないので、教育勅語を教科書として使うと学校教育法に反する指導となる。
・「大日本帝国のため」という教育勅語の内容は、日本国憲法の自由主義と平和主義の理念に反することになる。
→今さら聞けない「教育勅語」。憲法の先生の先生が教えてくれた内容以前の問題とは?
第二回まとめ~
・敗戦への反発が戦後民主主義批判に向かい、その批判に戦後民主主義の対極にある教育勅語が利用されている。
・政治家は戦後民主主義のもとで選ばれている。つまり、教育勅語を持ち出す政治家は嫌がらせはしているけども、全否定すると自分の存在自体も否定することになる。
→今、教育勅語が持ち出されている理由は?憲法学者の木村先生が解説!
 

●教育勅語を盛り上げる人の目的とは?

トオル…「教材として用いることまでは否定されることではない」という閣議決定は今後どんな影響を与えるんだろう?

木村(木村草太:憲法学者、首都大学東京教授)…教育現場で都合よく解釈する人は出てくる可能性はあるでしょうね。国が直接旗を振ることはないでしょうが、例えば第二第三の籠池さんのような人が出てきたときに「内閣のお墨付き」として使うことは考えられる。内閣側もそのことを暗に期待しているのではないでしょうか。

シズカ…なんか振り回されている気がするわ。こういった問題を冷静に判断するには何が必要なのかしら。

木村…まずは、教育勅語などを盛り上げようとする人の目的を理解すること。例えば、教育勅語をやらせたがる政治家が“どういう支持者に選ばれているか”を確認しましょう。こういうことをやりたがるのは、歪な支持者母体がいることが多いですから。

シズカ…今の時代、ネットで検索すればある程度わかりそうね。

木村個々の政治家は国民全体というより、どうしても次回当選するかどうか考えがちです。そういった議員たちにとって支持母体の存在は大きいですよね。数十万の得票が見込める支持母体があれば、例え国民全体に非難されようが何にも怖くないようになる。言い換えれば、得票数のなかで特定の支持母体からの割合が大きければ国民全体よりも重視しないといけない場合もある。ですから、本当は常識的におかしいと思っていても、支持者を喜ばせるために言わないといけない場面があるでしょう。

トオル…分かってやっている部分もあるということかぁ。

シズカ…そういう事情はあるかもしれないけど、国会議員には国民全体を考えた行動や言動をしてほしいわ。

木村…方法はありますよ。特定の支持母体に政治を動かしてほしくないなら、例えめんどくさくても投票に行くこと。議員からすれば、投票率が低いと自分を当選させてくれる熱心な支持母体に全力を割かないといけなくなる。しかし、結果として同じAさんという人が当選するとしても特定の支持母体以外からの得票があれば、その支持母体の存在感は相対的に下がる。すると、まともな発言や判断がしやすくなりますから。

シズカ…とても勉強になったわ。国会議員が常識的に考えて変な言動をしていたら、調べるように心がけるし、投票にもきちんと行こうと思う。

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