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見つけたらラッキー!  自転車にまつわる道路標識はレア度が高い

世にも奇妙な道路標識 第1回

ある地域でしか見られないご当地標識

レア標識③「停止線」

 ある地域にはいくらでもあるが、ない場所にはまるでない標識もある。「停止線」の標識などはその一例で、北海道の道路ではいくらでも設置されているが、関東以南ではほとんど見かけない。信号待ちの際に車が止まる位置は、通常路面に引かれた白線で表示されるが、寒冷地では雪が積もるとこのラインが見えなくなってしまう。そこで、路傍に立てられたこの標識で停止位置を示すのだ。

 この写真の「停止線」標識は、珍しく茨城県つくば市にあったものだ。この標識のある交差点はちょっと特殊な形状で、停止線が信号よりかなり手前に引かれている。このため、停止場所を強調する目的で立てられたと推測される。

レア標識④「安全地帯」

 「安全地帯」の標識は、主に路面電車の停留所に設置されているもので、乗降客等の安全確保のために交通が規制されていることを示す。下の写真は高知市内で撮影したものだ。かつては多くの街の交通を支えていた路面電車は、近年次々と廃止されて今や貴重な存在となっている。この標識を見る機会も、さらに少なくなりそうな案配だ。

レア標識⑤「軌道敷内通行可」

 下の標識は「軌道敷内通行可」というもので、これもかなりのレア標識に属する。路面電車が通行する「軌道敷」は、原則として車で通行することはできないが、この標識が設置されたところは例外的に通行が認められるというものだ。下の標識はJR王子駅付近、都電荒川線と明治通りが交わるあたりに設置されたもので、都内でこの標識が見られるのはここだけである。気づかずに近くを通っていたという方も多いと思うが、今度通る時にはぜひチェックしていただきたい。

 というわけで、レア標識は身近にありながら、大半の人に見過ごされてしまっている。これをご覧のみなさんも、これから街を歩く際には少しだけ標識に注意を向けてみてほしい。そこにはとんでもないレア物件がひそんでいるかもしれないのである。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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