日曜日は鳥の声を聴きに行く。テーラー有田一成のウィークエンド。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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日曜日は鳥の声を聴きに行く。テーラー有田一成のウィークエンド。

対談/有田一成(テーラー&カッター)&沼畑直樹(『最小限主義。』著者)

沼畑 有田さんは海外に行くときは現地でどんな格好されるんですか。
有田 それはスーツですね。現地についてから着替えます。それはやっぱりイギリスはスーツが似合う国ですから、どこを歩いてもかっこいいし、スーツで歩きたいです。田舎にいってもスーツを着る人は着てるし、普通に受け入れられるんですよね。日本だとスーツを着ているとビジネスマンというイメージがありますけど、ロンドンだとスーツをいつどこで着ていてもいいんですよね。休みの日だっていいんです。

沼畑 有田さんのコンテンツ消費ってどんな感じですか。
有田 恥ずかしい話なんですが、曲を聴くと入りこんでしまって、仕事にならないんです。だから仕事のときは音楽は一切聴かないようにはしてます。たとえばジョン・コルトレーンのMy favorite thingsを徹夜しているときに聴いてしまって、そのときは泣いてしまったんですよね。音楽を聴いてゆっくりする時間はないんですよね。むしろ聴かないほうがゆったりできる。あとはバーで人と話すのがリラックスする時間だと思ってたんですが、本気で会話をするというか、議論になったりもする。それが凄くお互いの本性で話ができていいんですよね。いつも人生勉強という感じです。だからくつろぐという感じはわからなくなってきている。ターンパイクでも、鳥はどうしたら来てくれるんだろうって考えてるので、釣りと同じなんですよね。結構本気なんですよ。

沼畑 休日はよくターンパイクに行くんですよね。
有田 そうですね。休日はだいたい箱根のターンパイクにドライブに行ってます。普通は走りを楽しんだり、景色を楽しむ場所ですが、私の場合はゆっくり低速で走って、鳥の声を聞きに行くんです。
沼畑 ちょっと有田さんのイメージと合わないですね。
有田 ゆっくり走って、鳥の声を聞くという。
沼畑 意外ですね。ポルシェで飛ばしてそうな感じがします。私が本に書いたミニマリズムですが、モノの執着から離れて体験型になるというストーリーがあって、最近よくみなさんに休日何をしているか聞いているんです。まさか有田さんからそういう話を聞けるとは思ってなかった。非常に面白いです。旅のコンテンツ作りをしているときに相談されるのが、「若い人が旅に興味がない」というものなんですけど、それってだから、家でゲームなり、ネット、映画といったコンテンツを観る暮らしが主流で、あまり実体験に興味が無い。コンテンツを消費して満足してしまう。それをミニマリストはコンテンツ消費を少し減らして、体験をもう少し重視するという傾向にあります。
有田 「若い人に海外に行ってほしい」というのとミニマリズムは一見結びつかないですね。
沼畑 そうですね。ミニマリストになりたいという若い人もいるんですけど、そういう子は部屋のモノを減らしたあとに本当に行くんですよ。旅行とかに。海外旅行とかは物質所有(マテリアル・ポゼッション)として財産にならないんですけど、海外先にお金が落ちていく。観光産業には海外かもしれないけど、お金がまわっていく。もしかしたら、モノを買うという分野と観光業界は対立関係にもあるのかもしれない。休日に出かけるとか、物質とは関係ないことをやる人に興味があって、さっき有田さんが言っていた休日にターンパイクに行くっていう話がちょっと面白かったんです。

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沼畑 直樹

ぬまはた なおき

ミニマリスト。テーブルマガジンズ代表。元バックパッカー。

2013年、「ミニマリズム」「ミニマリスト」についての記事を発表し、佐々木典士氏とともにブログサイト≪ミニマル&イズム(minimalism.jp)≫をたち上げる。 著書は、小説『ハテナシ』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』(Rem York Maash Haas名義)など。


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