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シロアリたちの豊かな社会生活

害虫として嫌われているシロアリは、実は人類にとってなくてはならない重要な存在だった!?

ゴキブリと並んで人間から嫌われている害虫として名高いシロアリは、名前はアリですがゴキブリの仲間。日本では家に巣食って木材を食い、ときにはコンクリートまで食い荒らすことで有名です。

一方、熱帯、亜熱帯に住むシロアリは、大きいものでは高さ数メートルにも及ぶ、いわゆるアリ塚をつくります。アリ塚は土やシロアリ自身の唾液、排泄物などでつくられ、生息地が高温であっても内部は一定温度、湿度に保つことができる、非常にすぐれた城砦のような巣です。このアリ塚に、数百万匹のシロアリたちが生活しています。

シロアリは真社会性昆虫と呼ばれており、ひとつのアリ塚に1匹の女王アリを中心とした社会が形成されています。女王にエサを運んだりして世話をする働きアリや外敵から巣を守る兵隊アリには翅がありません。集団のなかに翅をもった雌雄の生殖虫が生まれると、やがて2匹は巣から飛び立ち自分たちの巣をつくり始めます。

女王アリは巣のなかでひたすら産卵し、仲間を増やします。やがて女王アリの腹部は卵が詰まった袋のように肥大化し、自力では移動もままならなくなりますが、そんな女王アリを働きアリが甲斐々々しく世話をするのです。また、兵隊アリが外敵と戦っているあいだ、巣の壊された部分を修復するのも働きアリの仕事です。

兵隊アリのおもな仕事は、外敵が侵入するのを防ぐ、あるいは侵入してきた外敵と戦うことです。兵隊アリの姿は、ヤマトシロアリのように頭に鋭い牙をもつものや、タカサゴシロアリのように角が生えていて液体を噴射するものなど種によってさまざま。また、のちに新たな女王として巣から飛び立つ生殖虫は働きアリから分化しますが、兵隊アリには生殖機能はありません。

めずらしい種としては、日本では沖縄地方に生息するタイワンシロアリや、キノコシロアリ類が挙げられます。この仲間は、巣のなかでキノコを育てるシロアリです。

枯れた植物などを巣につくったキノコの栽培室に運び込み、そこで育てたキノコは彼らの食料になります。

シロアリのなかでも、非常に高度な社会性をもった種といえるでしょう。このように、高度に進化した社会性をもつシロアリが、もし熱帯林にいなかったなら、ほかの昆虫や小動物などが分解しきれない朽木倒木などがあふれ、多くの植物が死滅するともいわれています。

ものすごい強度を誇る「シロアリ塚」

<『4億年を生き抜いた昆虫』②>

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岡島 秀治

おかじま しゅうじ

農学博士。東京農業大学教授。東京農業大学第一高等学校、同中等部校長。東京農業大学農学研究科農学専攻、博士課程修了。専門は、昆虫学、生物多様性・分類、形態・構造。著書に『日本産コガネムシ上科標準図鑑』(学研教育出版、共著)ほか多数、監修に『にほんの昆虫』(アマナイメージズ)、『学研の図鑑LIVE 昆虫』、『大自然のふしぎ 増補改訂 昆虫の生態図鑑』、『ポケット版 学研の図鑑① 昆虫』(いずれも学研教育出版)、『脱皮コレクション』(日本文芸社)、『いきもののしいく』(フレーベル館)ほか多数。


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