“守備的FW”としての成熟とFWとしての不満

 時計の針がどんどんと進む。時間が経過しているにもかかわらず、レスターの運動量は落ちない。セビージャは面食らったようで戸惑いを見せている。
 リーガではレスターのようなプレッシングサッカーをするクラブは多くない。各国のサッカーの違いを楽しめるのもまたチャンピオンズリーグの面白さだ。
 セットプレーでレスターが先制して前半が終了する。後半に追加点を決め2-0としたレスターだったが、1失点すれば延長戦を戦うことになるし、相手に逆襲の勢いを与えてしまう。2-0がもっとも危険なスコアというのは、サッカーの常である。
 4点目を獲りにいくべきか、守備を固めて2点を死守するのか?
 攻勢を強めるセビージャを抑え切れるのかと、冷や冷やするシーンが何度もあった。
 しかしその度に、GK・シュマイケルがPKを止め、モーガン、フートを中心とした屈強なディフェンダーが頭でボールをクリアーし、ミッドフィルダーが必死にボールをペナルティエリア内から弾き返す……そんなプレーを見ながら、思い出した。
 
 レスターはこういう劣勢に見える試合で強さを発揮してきたことを。
 
 相手の攻撃を跳ね返すたび、彼らは“ゾーン”に入っていくのだ。そして、2-0のまま、チャンピオンズリーグ準々決勝進出を決める。イングランド勢で唯一の勝ち残りクラブはレスターだけだった。

 

「正直、今季は、チャンピオンズリーグのためにやってきたという部分がある。だけど、その初戦でベンチ外だったり、(試合に出られず敗北を喫した)3試合前のセビージャ戦では本当に絶望的な状況でとても落胆した。でも、監督交代で僕の状況は一変した。だから、今日はゴールを決めて“どうだ!”みたいな感じで話したかったけど、そんな甘くはないですね。
 自分が相手にプレスをかけて、僕の後ろからチームメイトが来てくれる。そういうプレッシングサッカーで、自分が最大限生かされるということを改めて認識している。そして、勝つためのプレイヤーとしては、(自分は)かなり成熟していると思う。ただFWとして、周りが評価してくれない部分があるので、そこは葛藤がありますけど。ただ、今はチームを勝たせたいし、自分が試合に出るためには、今のこのスタイルじゃないと出られないというのもわかっているから。これを続けながら、ゴールも狙っていきたい」
 “守備的FW”というポジションがあるとすれば、岡崎はそんな仕事を担っている。もちろん、守備だけでなく、攻撃へ転じるときの、後方からのパスを引き出す動き出しも秀逸で、その貢献は守備に限ったものではない。
 しかし、ゴール数という点だけで語った場合、現状の結果では物足りない。それを一番不満に思っているのが岡崎自身であり、そのための試行錯誤も続けている。
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