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驚きの20代の感性!「コンビニがどう変わればウケる?」

【続・コンビニが日本から消えたなら 渡辺広明×原田曜平先生×大学生研究員でガチ対談③】

■一方、男子向け商品の開発も急務

 伊藤:僕にとって、コンビニの一番の魅力は、購入の手軽さと、一人分のものが買えるという点です。それほど長居はしないので、店舗とか空間とか、接客とかは自分は気にしません。なので、商品だけに絞って考えてみました。男性を集めるなら、価格が安くて量が多いものを充実させてほしい。

 原田:コンビニってあまり男性向けじゃないという印象はある?

 伊藤:デザートとか自分たちは買わないので。

 原田:コンビニが女子化しちゃったのかもね。

 渡辺:昔は、コンビニは男性向けの店だったんですよ。

 伊藤:飲み物とアイスしか買わないんです。

 渡辺:女子が買いたいものは(まだ学生のみなさんが満足いかないのかもしれないけど)増えていってるんです。でも、男が買いたいものは少なくなっていて…。昔は弁当でも、どこのチキンカツがデカいとか、以前はビッグティラミスというスイーツが流行ってたんですよ。でも駆逐されちゃってね。男性の購買頻度が落ちていますからね。以前はコンビニ訪問客の男女比は7:3だったんですよ。そこへ女子目線をというテコ入れでスイーツなんかも誕生していき、コンビニスイーツなるジャンルも確固とした地位を築いてきたと思います。でも、日本の人口の男女比はほぼ半々ですよね。今は男子向けの商品が少ない、少しいびつな商品構成になってきていると感じます。だから、今は男子向けの商品開発にバイヤーは目を向けるべきだと私は感じているのです。

 原田:あ、でも、男性自体の像も大分変わってきてますよ、渡辺先生の時代より(笑)。ジェネレーションZの男子はとにかく細い。食欲も女子の方が強いケースもたくさんある。一方、美意識も高くなってきている。昔ながらの「男性像」というより「中性的な新しい男性像」を描いた方が、男女ともに売れる商品ができるかもしれません。確かに今は女性に寄り過ぎているのかもしれないけど。

  

■すべてのコンビニがナチュラルローソンのようなイメージに変化していくべきなのか?

 伊藤:女性を集めたいのなら、食べきりサイズのプチ系のものをより充実させる。そして、素材を充実させること。トレンドとして、無印のカレーで糖質10g以下とか。イノセントスムージーサイズは小さめだけど100%で旨味が濃い。そういった方向のものを置いた方が良いのかなと思います。

 原田:ナチュラルローソンみたいになった方がいいってこと?

 伊藤:そうです。

 原田:ものすごく安いものを置くか、付加価値のあるものを置くのか? どちらがいいかと言えば、付加価値の高いものの方がという意見だね。

 伊藤:あと、男子から想像した女子の気持ちは? という観点からも、パッケージが可愛いとは思えないので、例えば、デコレーションできるとか、キットカットの後ろのメッセージ欄なんかは、みなさん書き込んでインスタに上げられているんで、こういう発想のパッケージであればみんな購買衝動が芽生えるんじゃないかなって。

 渡辺:コンビニすべてが、ナチュラルローソン的に向かっていったら、なんか物足りないなって感じるのではないかな?

 原田:単価は圧倒的にナチュラルローソンの方が高いですよね。

 渡辺:圧倒的に高いです。ナチュラルローソンが経営的に成り立った背景には、確実に健康や美容など意識高い系の客層を視野に入れたいという明確なビジョンがあったと思います。店仕入れを活発にし、各店の個性を持つべきという考えと同じですよね。東京のおしゃれエリアでお客さんの要望に応えたからこそナチュラルローソンは存在価値を発揮できたという事実も間違いなくあります。ただし、これは全国で通じるのでしょうか?  成功していったとみなさんが感じられているナチュラルローソンでさえも、近畿エリアでは撤退を余儀なくされ、首都圏でしか展開されていないというのも事実です。すべてがナチュラルローソン化してしまうということは、すべての人々の要望に応えていくコンビニとは異なる展開となってしまうと私は考えます。なので、エリアごとの客層ニーズに合った店舗に進化していくというカタチになると思います。

 原田おしゃれで高いものばかりが並んでいるコンビニでいいの? それとも、プライベートブランドのように価格が抑えめの商品か、付加価値商品か、半々のラインナップのコンビニが理想的なの?

 一同:あ~、半々のラインナップ。それがいい!!

 渡辺:理想はそうなんだね、やっぱり。両方の気持ちを満足させないとなんだね。ならば、コーナー作りは、まずは商品はカテゴリー別に分けられている従来の形通りで、そのカテゴリーの中で、お客さんが日用使いで安いもの、付加価値のある本格志向のものと選べる形が理想ですね。ただし、本当に様々なタイプのお客さんを満足させることは難しいというのも事実です。まずは学生が集まる立地にあるコンビニで実験実証する店舗を作りを検討していく必要があると、とても強く感じさせられる意見ですね。

 相馬:あと、日用品がコンビニの価格帯は高いなと感じることがあります。「化粧落としを忘れちゃったな」とコンビニへ向かうと、1400円のメイク落としとかが置いてあるんです。こんな時、100均へ行けば良かったな~って思います。1日で使い切れる量で、見合った価格帯の商品をラインナップしていただきたいなと思います。

 原田:日常使いの商品であれば、もっと簡易包装で価格を抑えるというのがあってもいいかもね。日用品に関してはおしゃれでなくてもいいと。

 

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渡辺 広明

わたなべ ひろあき

日本一のコンビニ流通アナリスト

静岡県浜松市出身。東洋大学法学部経営法学科卒業。 マーケティングアナリスト、流通アナリスト、 コンビニジャーナリスト。 静岡県浜松市の親善大使『やらまいか大使』。 (株)ローソンにて店長・スーパーバイザー・バイヤーとして 22年勤務。約730品の商品開発にも携わる。 ポーラ・オルビスグループ(株)pdc勤務、TBCグループ(株)で 商品営業開発・コラボ企画・海外業務を歴任後、 (株)やらまいかマーケティング 代表取締役社長に。 フジテレビ『Live News α』『ホンマでっか!?TV』での コメンテーターをはじめ、 『東京スポーツ』『デイリースポーツ』『オトナンサー』 『商業界ONLINE』にて連載を持つなど、 多種多様なメディアで活躍中。


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  • 渡辺広明
  • 2019.12.27