5月10日から5月16日は愛鳥週間
珍名さん万歳(39)
日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。
5月10日から5月16日は愛鳥週間である。野鳥保護思想普及のために昭和25年に定められた。現在は、公益財団法人日本鳥類保護連盟により、野鳥を通して自然の保護など様々な取り組みがなされている。日本にも様々な鳥が生息しているが、その鳥の名前が名字として存在している。
雀(すずめ)燕(つばめ)烏(からす)鶯(うぐいす)鷺(さぎ)鷲(わし)鷹(たか)鴨(かも)鴇(とき)鶴(つる)鳶(とび)鴫(しぎ)鳩(はと)鴻(おおとり)鷗(かもめ)鶉(うずら)白鳥(しらとり)雲雀(ひばり)などがある。いずれも馴染みのある鳥である。
これらの名字の中に、なぜか日本の国鳥である雉子(きじ)が存在しないのが不思議である。雉子は日本各地に生息し古代から人々にも愛され、昔話の桃太郎にも登場する。
しかし、雉子の付く名字は唯一「雉子牟田(きじむた)」のみである。これは、雉子は国鳥になるほど高貴な鳥であり、名字にするのが恐れ多かったことも考えられる。鳥の名前だけではなく、鳥にまつわる地名や名字もあり、地名では鵤(いかるが)や飛鳥(あすか)・斑鳩(いかるが)、名字では朱雀(すじゃく)鷦鷯(ささき)善知鳥(うとう)などである。鷦鷯は「ミソサザイ」という小さな鳥であるが、朱雀や善知鳥はどのような鳥であったのか全く想像がつかない。
また、鳥に関係する名字で、鷹がいなければ(無し)小鳥は安心して遊んでいられることから「小鳥遊」で「たかなし」、鶏の鶏冠は赤く、紅葉した楓の葉に似ていることから「鶏冠井」で「かえで」というようにトンチを効かせないと読めない名字もある。