【日本遺産】おおらかなる信仰の会津旅〈巡礼を通して観た往時の会津の文化〉 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【日本遺産】おおらかなる信仰の会津旅〈巡礼を通して観た往時の会津の文化〉

福島県【会津若松市】【喜多方市】【南会津町】【下郷町】【檜枝岐村】【只見町】【北塩原村】【西会津町】【磐梯町】【猪苗代町】【会津坂下町】【湯川村】【柳津町】【会津美里町】【三島町】【金山町】【昭和村】

■巡礼とともに伝統の食文化を味わう
往時の人々が楽しんだ伝統の味、信仰と結びついた食文化、世界的な評価を受ける酒蔵

巡礼者や修行者の胃と心を満たした食と酒

 大寺院や大社が建ち並ぶ宗教都市や、多くの参詣者を集める巡礼地には美酒・美食がある。
 そうした場所には僧や神職、その修行を助ける人たちの食を支えるために多くの物資が各地から運ばれてきた。また、寺内でも味噌や納豆、酒などが造られた。とくに寺で造られる酒は僧坊酒といって珍重された。僧が飲酒することは戒律で禁じられていたが、神仏への供物や寄進への返礼、体を温めるための薬として使われていたのである。寒い会津地方ではことさら必需品であっただろう。
 こうしたことから門前町では独特の食文化が生まれ、数々の銘菓・名物料理が誕生した。もちろん会津においても同様で、かつての旅人や巡礼者が口にした旨い食と酒を今でも味わうことができる。

 たとえば、日本三大虚空藏尊の一つとして知られる圓藏寺の門前町で売られている銘菓「あわまんじゅう」は圓藏寺が災害に遭った際、二度と災難に「アワ」ないように、という願いを込めて奉納されたのが初めといわれ、約200年もの歴史があるという。
 いっぽう下野街道は会津と日光の今市を結ぶ道で、会津藩・庄内藩・米沢藩などが参勤交代に用いた。保科正之によって整備された街道だが、それ以前から重要な交通路であった。会津で徳一が活動していた頃に初めて寺院が建てられた日光とも関係は深く、御蔵入三十三観音への巡礼者達もこの道を辿った。

 会津観光の目玉の一つにもなっている大内宿は、下野街道3番目の宿場として整備された村で、参勤交代の時はここで昼食をとったという記録が残っている。明治時代には鉄道や新道がこの集落を迂回するように敷設されたため、近代化の流れから取り残されてしまったが、その結果、往時の家並みがほぼそのまま残されることになった。タイムスリップしたかのような景観は全国的にも貴重なものとされ、昭和5年(1981)には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。


観音めぐりと美酒・美食のおいしい関係

●福満虚空藏菩薩圓藏寺(ふくまんこくぞうぼさつえんぞうじ)/柳津町 [MAP-⑬]
空海が霊木で彫った虚空藏菩薩像を本尊として徳一が創建したという。優美な佇まいの奥之院弁天堂や赤べこ像のほか、「七日堂裸詣り(1月7日)」や13歳の子どもが智恵がつくようお詣りをする「十三講詣り(4月)」も有名。


●小池菓子舗/柳津町 [MAP-⑭](写真:右)
圓藏寺のすぐ近くにある和菓子店。平日でも一日数千個は売れるといい、外国人観光客もバスの中で食べる菓子として買っていくという。河沼郡柳津町柳津字岩坂町甲206 ☎0241-42-2554 ㊡年中無休

●ほまれ酒造株式会社 雲嶺庵/喜多方市 [MAP⑯](写真:左)
多くの銘酒を製造する会津屈指の酒蔵。酒蔵見学が可能で、試飲スペースは上品かつ美しい空間でリラックスできる。喜多方市松山町村松字常盤町2706 ☎0241-22-51559:00〜16:30 ㊡年末年始(蔵見学可)


●新宮熊野神社/喜多方市 [MAP-⑮]
天喜3年(1055)の勧請と伝わる。平安末期に建てられた長床(国重文・写真:右)は拝殿であると同時に修験道の修行道場でもあった。壁をつけないのが特徴で、太い円柱が44本林立する様は壮観。文殊堂本尊は学問の仏様・木造文殊菩薩騎獅像(写真:左)。お腹の下をくぐると知恵がつくと言われている。

江戸時代を体感できる 下野街道の宿場町「大内宿」でおいしい一服

●大内宿(おおうちじゅく)/下郷町 [MAP-⑰](写真:左・中央左)
民宿、みやげ、食事処など茅葺き屋根の民家が並ぶ観光スポットだが、高倉宮以仁王の霊を祀ったとされる高倉神社があり毎年7月には家内安全、五穀豊穣を祈願する半夏祭りが開催されている。写真左は多くの人で賑わう雪まつり。秋の紅葉とともに、必見の景観である。大内宿観光協会 ☎0241-68-3611 

●こづゆ 会津の郷土料理。海産物の乾物をつかった汁物で、会津藩の武家料理として広まった。現在でも祝いの席においてよく見かける(写真:中央右)。
●しんごろう 昔、お供えのお餅が作れなかった「しんごろう」という人が、代わりにご飯を丸めてじゅうねん味噌をつけて焼いたのが始まり。下郷町のご当地キャラのモチーフにもなっている(写真:右)。

●ねぎそば 昔、保科正之が連れてきた高遠の職人による、大根おろしを乗せたコシのあるそばが高遠そばだが、大内宿名物の「ねぎそば」はそれをねぎでいただくもの。かじって薬味にしつつ、ねぎで蕎麦を巻いて食べるのが通。「おねぎでお蕎麦を食べるんですか?」大内宿で出会った名物を驚きながらも楽しそうに味わう。

 

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