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世界一奪還へ、侍ジャパンに「熱さ」をもっと。欠かせない男、松田宣浩の存在

世界一奪回へ、ステージを掛け上がる侍ジャパンに「熱さ」を。

「バカになってやっておけば良かった」と後悔しないように

 

「選手ってグラウンドに立てば誰だって自然と真剣になるんですね。それだったらね、『もっとバカにならないと』って思うんです。試合でも練習でも、バカになって努力する。若い選手とかは『恥ずかしい』とかあるのかもしれないけど、後になって振り返った時に『もっとバカになってやっとけばよかったな』って後悔するくらいなら、最初からそうやったほうが絶対にいいと思う」

 侍ジャパンのムードメーカーである松田は、かつてそうはっきりと言っていた。長嶋茂雄への敬意から、代表では背番号3を自らの意思で選び、今季からソフトバンクでも同じ番号を背負う。WBCでは1次ラウンド3試合でトップの打率5割4分5厘をマークし、1本塁打、5打点と爆発した。大事な初戦であるキューバ戦で、5回に相手を突き放す3ランを放ったシーンは鮮明に思い描けるし、ベンチ前で叫んだ「アッツォ~!」の咆哮は、間違いなくチームと球場のボルテージを上げた。「サードを守る背番号3」は、プレーと姿勢でチームを引っ張っているのだ。

 松田のエンターテイナー性は、言うまでもなく侍ジャパンだけで発揮されているわけではない。これは、松田の原点である。

 きっかけは大学時代まで遡る。

 亜細亜大に入学当時、周囲には甲子園常連校から来た名の知れた選手が多かった。「今はまだ実力では勝てない。でも、誰よりも元気を出すことができる」。練習から誰よりも声を出し、チームを盛り上げた。自身を奮い立たせることで自信をつけ、希望枠でプロ入りする選手にまで成長を遂げたわけだ。

 松田は、自分の姿勢をこう語っている。

「みなさんは、11年に内川さんがホークスに来てから僕が大声を出すようになったとか、実績を作ってからそうなったとか思っていますけど、それはもともとのことなんで。スマートに野球に取り組むのも大事かもしれないですけど、僕にはそれは絶対に合わないから。1軍でも2軍でも変わらず声を出す。元気いっぱい野球をする。そうやってここまで来ましたし、それはずっと変わらないです。自分のプレースタイルなんで」
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田口 元義

たぐち げんき

1977年福島県生まれ。元高校球児(3年間補欠)。ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。Numberほか雑誌を中心に活動。試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を感じられる瞬間がたまらない。現在は福島県・聖光学院野球部に注目、取材を続ける。


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