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コロナ自粛で健康を害さないために!「有酸素運動」が容認される理由

運動の効果が極めて大きい

◼️緊急事態でも運動は容認されている

新型ウイルス肺炎が世界で流行中。緊急事態宣言下の東京でのジョギング風景。人が密になる場所でのジョギングは薦められない。(写真:アフロ)

 

ご存知のように4月7日、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて東京都などに緊急事態宣言が出されました。感染の拡大をできるだけ抑えるため、不要不急の外出などを控えるよう要請しています。

ところで安倍総理が、緊急事態宣言を行った7日の記者会見で「散歩やジョギングは問題ない」とわざわざコメントをしたことをご存知でしょうか。翌8日にはスポーツ庁の鈴木大地長官も記者会見で「感染リスクがない環境での運動は行っても問題ない」と述べています。リスクのない運動とは、感染拡大につながりやすい「密集」「密閉」「密接」を避けた運動であり、たとえば安倍総理が言うように散歩やジョギングが当てはまるでしょう。

不要不急の外出を控えるべき緊急事態下でも、リスクのない運動は容認されているのです。それはなぜでしょうか?

 

◼️運動の効果は思われているより大きい

理由は、運動の効果が極めて大きいからでしょう。

なんとなく「運動が健康にいい」ことは多くの人が知っていますが、運動、特に有酸素運動の効果は一般に思われているよりもはるかに大きいのです。私の専門である心臓・血管の病気の予防だけに限っても、「減量」「血中中性脂肪の現象」「血糖値の低下」「血圧の低下」「安静時心拍数の低下」などの効果があることが分かっています。他に体力向上やストレス解消などが期待できることも言うまでもありません。

なぜ有酸素運動にはこれほど多くの効果があるのでしょうか?

それは、運動がひとつではなく、さまざまなルートで心身に影響するからです。運動にはざっと挙げるだけでも、「血液中の糖の消費」「副交感神経が出て心身がリラックスしやすくなる」「血管がしなやかになる」「体重が減少する」「血糖値が上がりにくくなる」などの効果があり、これらすべてが健康増進に寄与します。

 

◼️おすすめは「有酸素運動」

ただし、運動ならなんでもよいわけではありません。運動は、ゼエゼエと息が切れるような「無酸素運動」と、そこまでは苦しくない「有酸素運動」とに大別できますが、お勧めは有酸素運動のほうです。

たとえば、全力疾走は無酸素運動ですが、軽いジョギングやウォーキングは有酸素運動です。無酸素運動をすると血圧が上がってしまいますが、有酸素運動ではさほど血圧は上がりません。したがってお年寄りでもリスクが小さいことがお勧めする理由の一つですが、それだけではありません。

無酸素運動のように苦しくはないため、継続しやすいことも有酸素運動の強みです。代表的な有酸素運動であるウォーキングなら、「買い物のついで」「散歩をしながら」など、「ついで」「ながら」でできますから、気軽に続けられます。ウォーキングやジョギング以外にも、サイクリングや水泳も代表的な有酸素運動です。

 

◼️鼻歌と心拍数でチェックする

では、無酸素運動と有酸素運動をどのように区別すればいいのでしょうか?

ひとつのやり方は、運動の「苦しさ」を指標にする方法です。目安は「鼻歌が歌えるくらい」。たとえば早歩きをするとして、息が切れて鼻歌が歌えないほどほどの速度で歩いてしまっては速すぎです。軽く汗をかき、体が温まるくらいではあるけれど鼻歌も歌える……というくらいのペースで運動しましょう。

より厳密なやり方は、心拍数を指標にする方法です。最大心拍数の60%~70%くらいで運動できれば効果的といえます。

最大心拍数は年齢と共に下がるため、「220-年齢」がおおよその目安になります。その60%~70%が目標ですから、仮に60歳の方とすると

(220-60)×60%~70%=96~112拍ほど

 

ということになります。

 

◼️頑張りすぎなくても大丈夫!

今お伝えしたような運動を、まずは週2~3回くらいからはじめてください。一回当たりの時間は、30分以上あればいいでしょう。慣れてきたら、2日に1回くらいのペースでできればベストです。

このくらい? と思われるかもしれませんが、「継続は力なり」です。早い方なら1~2カ月くらいで血圧や安静時心拍数の低下といった効果が現れはじめます。

運動中も他人との間に2m程度の物理的な距離(フィジカル・ディスタンス)をとることは忘れてはいけませんが、ひとりで気軽にできる有酸素運動は、自粛ムードの中でも低リスクで健康を手に入れられます。まずは1日30分、鼻歌を歌えるくらいの運動からはじめてください。

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山下 武志

やました たけし

心臓血管研究所・所長。日本循環器学会(循環器専門医、関東甲信越地方会評議員)、日本心臓病学会(特別正会員)、日本内科学会(認定内科医、指導医)、日本不整脈心電学会(不整脈専門医、理事)、Circulation Journal編集委員。1961年生まれ。1986年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科、特に不整脈。日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓病学会特別正会員、日本内科学会認定内科医・指導医、日本不整脈心電学会理事。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)などTV出演多数。


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