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田中角栄と裏日本。表日本との「格差」を生んだ豪雪地域=新潟という土地が角栄を生み出した

角栄とその時代 その2:裏日本

政治の光

—-田中角栄の《政治の光》とは、どんなものだったのでしょうか?

平野氏「明治維新以降、同じ日本でありながら国土の開発は太平洋側の湾岸地区《表日本》を中心に行われ、日本海側の《裏日本》は後回しにされ、食料や出稼ぎの労働力、資源の供給元として都市部に収奪されていましたよね。(国家)経営の3要素である、ヒト(労働力)・モノ(米)・カネ(地租)が、角栄の生まれた土地である新潟から奪われ続けていたのです。この近代化の過程の中で《裏日本》の屈辱を晴らすことが、角栄の『政治は生活だ』いう使命でした。そしてここが重要なのですが、角栄は決してオリジナル(言い出しっぺ)ではなく、コロンブスの卵(実行者)、つまり民衆の“積年”の想いを晴らす仕事師であったことです。越後の民衆がどれほどの苦しみを味わったか……」

—-民衆の想いをどう具体的に「政治」につなげたのでしょうか? 

平野氏「やはり、土建業をやっていたことが大きいと思います。角栄が国土の開発に心血を注いだのは当然の帰結です。《裏日本》に政治の光を当てる手っ取り早い方法で、とにもかくにも着手されるべきが、高速道路を含む道路、新幹線などの鉄道網の敷設といったインフラ(社会資本)整備を急ぐことだったからです。権力の中枢に分け入ることで行ったのが、地元選挙区への「利益誘導」でした。分捕った国家予算の金を『公共事業』の形で新潟に落とす。その見返りとして利権と票を獲得し、さらに中央政界への影響力を高める。そんなうまいサイクルを起動させながら怨念を晴らしていったのです。建設が必要な地域への投資と角栄の仕事量、権力への階段は、こうした《右肩上がり》の時代(=高度成長期)の中身そのものですよね。金と権力が集中する必然があったんです」

●角さんの教訓2●

角さんは、決してオリジナルな政治家ではない。みんなの想い「リスク」を一手に引き受け、「一気」に解決した「仕事師」だったから受け入れられた

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平野 貞夫

ひらの さだお

1935年高知県出身。法政大学大学院社会科学研究科政治学専攻修士課程修了後、衆議院事務局に入局。園田直衆議院副議長秘書、前尾繁三郎衆議院議長秘書、委員部長等を歴任。ロッキード事件後の政治倫理制度や、政治改革の実現をめぐって、当時衆議院議院運営委員長だった小沢一郎氏を補佐し、政策立案や国会運営の面から支える。92年衆議院事務局を退職し、参議院議員に当選。以降、自民党、新生党、新進党、自由党、民主党と、小沢氏と行動をともにし、「小沢の知恵袋」「懐刀」と称せられる。自社55年体制より、共産党も含めた各党に太いパイプを持ち、政界の表も裏も知り尽くす存在で、宮沢喜一元首相からは「永田町のなまず」と呼ばれる。現在、土佐南学会代表、日本一新の会代表。主な著書に『ロッキード事件 葬られた真実』(講談社)、『平成政治20年史』(幻冬舎新書)、『わが友・小沢一郎』(講談社)、『田中角栄を葬ったのは誰だ』(K&Kプレス)、『野党協力の真相』(詩想社新書)などがある。


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