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【異種 特別対談】薄毛治療の専門医に、『安全保障は感情で動く』の著者、潮匡人がリアルに迫る!

「人は見た目が9割」は本当なのか 見た目とココロの方程式


 軍事と国際政治が専門の評論家・潮匡人氏と親和クリニック総院長・音田正光氏との異色対談———医療としての「自毛植毛」の可能性について議論します。


◼️「内面」の理想論か「見た目」の現実論か

 編集部————音田先生のクリニックには若い患者さんの来院が増えているそうですね?

 音田正光氏(以下「音田」と表記)————増えてきています。「見た目」について、最近の若い患者さんは、まず自分をできるだけカッコよく見せたいと。薄毛に対しては自毛植毛「治療」に対して抵抗感がなくなった傾向があります。決して安い費用ではありません。ですが、治療を受ける決断は早いのです。

 潮匡人氏(以下「潮」と表記)————以前、竹内一郎さんの『人は見た目が9割』(新潮新書、2005年)が100万部を超える大ベストセラーになりましたよね。言い得て妙だと思いました。
小学校の先生たちは、「人間の価値は見た目ではない、中身なんだ」ということを疑うことなく前提として子供たちへ「だから見た目で判断しないように」と理想論を教えるわけです。
しかし、現実は、人の評価は美醜の問題であれ、学歴の問題であれ、中身ではなく実際は「見た目」で品定めされています。そうした理想とはおよそかけ離れた人々の主観や美意識、生理的な感情、俗に言えば「好き嫌い」などの印象で決定されているわけです。そう考えれば、現実の見た目の「力」でほぼ決まっているんですね。

潮匡人(うしお・まさと)評論家。昭和35年、青森県生まれ。早稲田大法学部卒。旧防衛庁・航空自衛隊に入隊。長官官房などを経て、3等空佐で退官。帝京大准教授、拓殖大日本文化研究所客員教授などを歴任。著書に『安全保障は感情で動く』(文春新書)『誰も知らない憲法9条』(新潮社)など多数。

◼️日本の若者の人生観が「主体的」に変わりつつある

 音田———若者の自動車離れがニュースなどで報道されますが、維持費の問題も含めて、高度成長期に育った現在の日本の高齢者と消費傾向が明らかに変わってきたと思います。所得の問題など複数の要因があるかもしれませんが、特に20代から30代の若い薄毛の患者さんとの治療では、「費用は自分への投資である」という認識が主流になってきたように感じます。
そこには主体的に何をファースト・チョイスすべきかについての決断があります。具体的に言えば、患者さんとの診察時のコミュニケーションで、若い方の場合、自分の人生を最大の幸福にするためにもっとも大事にしているものが、有限の生命というかけがえのない時間こそ価値あるリソース、と考えているように感じます。ですから、もっとも活動的である若い時期に、「薄毛で悩む時間ほど無駄なものはない」と考え、見た目をよくするという決断をされているようです。
50代半ばから60代前半のバブル世代に比べ、現在40代の就職氷河期世代の辛酸もニュースなどで知っていますから無意識に危機感が強いのかもしれません。ですから、「モノ」で自己表現するよりもまさに「自分自身」を表現して承認されたいという願いが多いのかもしれません。

 ————若者の見た目に対する選択とは、そうした現実の情勢を踏まえた社会観から生ずる危機意識の裏返しとしても考えることができると思います。私も大学で学生を教えていましたので、特に就職活動を同時にやらねばならない自分のゼミ生には、就活では選択権が学生にはありませんので、逆にどう「見られるか」をしっかりと意識しなさいと伝えました。
当たり前のことですが、履歴書の字はできるだけ大きくしっかりと書く。志望動機は短い文章で簡潔に書く。面接では、身なりはもちろん、挨拶をしっかりと礼儀正しく行う。
つまり「見た目」がよくなるように指示したんです。おかげさまで私のゼミ生は概ね世間的には周知された企業から内定をいただき、就職しました。
面接試験で語るべく物語づくりで国際紛争地、例えばイラクに行って「自分探し」する必要もないわけです。
ところで、音田先生の自毛植毛の技術について、少しお話を伺いたいのですが、薄毛治療とは、現在、保険外診療ですが、自毛を移植するという点では臓器移植と同じとも言えるのではないでしょうか?

 音田———そうなんです。自毛植毛の手術は、心臓の移植と同じように「早さと正確さ」が求められる治療技術なのです。

◼️自毛植毛を「治療」の観点から考える

 音田———基本的なことを申し上げれば、科学的に毛根を失った髪は生えることがないという前提でお話しを続けます。
「自毛植毛」とは、後頭部や側頭部(特に後頭部が適している)の毛根組織を採取し、薄くなった部分に移植する技術です。どのような状態に髪の毛が復活するのかについて写真をごらんください(下【図表】参照)

【図表】術前と術後1年後の検診時による比較画像(提供:親和クリニック)

 後頭部の髪の毛は細くならずに太いんですね。太い毛を持ってきますから効果が期待できるという話なんですね。自然のサイクルで抜けることはあっても、毛根がしっかりと移植されていますから、また生えてきます。

 ————具体的には、その自毛植毛手術は、どのくらいの時間がかかるのでしょうか?

 音田———毛穴の単位を「株」っていうんですが、例えば3000株ちょっとだと、当医院の場合は、
 ①後頭部の株を吸引しながら取り、
②それを毛穴がない薄毛の場所に穴を開け、
③その箇所に株を入れていく
 そうした3つの作業をこなし、手術は早くて5時間ぐらいで終わります。患者さんの痛みもありません。普通だと取るだけで5時間くらいかかることもあるんです。おそらく私たちの医院が一番早いのではないかと思います。アメリカだと2日間かかるようです。スピードが大事なのは、治療的に、採取した株の定着率の問題があるのです。毛も他の臓器移植と一緒で時間がかかればかかるほど組織のダメージが大きく、100個植えて70個ぐらいしか付かないという事態が生じるんですね。それを可能な限り早く行うのは、人の技術になってくるのです。おそらく当医院は世界トップクラスだと思います。その自負があります。かなり早いです。採取するのも当医院のドクターだと1時間当たり、1000〜1300株は取れると思うんです。本当に熟練した医師は、早いと2300株ぐらい取ったことあると思います。

 ————それは、すごい技術ですね。その意味において先生の手術自体が一つの日本の再生医療、ちょっと大きな視点で言えば、人生100年時代のアンチエイジングを可能にする技術ではないでしょうか。「ジャパン・ビューティー」と世間で喧伝されていますが、本当に産業として、戦略的に世界で戦える技術ではないでしょうか。

 音田———そう言っていただけると嬉しく思います。現在はコロナ禍で、外国からの、特に中国からの患者さんが来られない状況ですが、私たちの技術は、現在アジア諸国の方々には広く知られているようです。

「自毛植毛」の今後の課題

 音田———私たちは、本当にこの植毛技術を特に、他の病気などで髪の毛が抜けてしまった患者さんや、これからの未来を背負って社会に貢献する若者など「薄毛で悩まれている」方に、できるだけ私たちの医療技術で応えていきたいとも思っているのです。すなわち、薄毛を「病気」として正規に位置付け、保険診療でも自毛植毛ができるようにしたいと願っております。
目の前に志を抱く若者が、薄毛で悩んで引きこもるとしたら、それは日本の未来にとっての社会的損失だからです。世の中が高度化することで、今まで克服できなかった現象が、需要になっている、いや、その需要は「薄毛でもいい」という本人の諦めで終わっていたとしたら、残念なことです。
髪は抜けたら、生えることはありません。しかし、後頭部の強い毛根のある髪の毛を移植することで薄毛を克服することができるからです。
例えば、これがだったら、国はやるんでしょう。ただ、薄毛の克服ができる薬ができれば、ノーベル賞ものくらいの人類の進化を遂げる発明だということも忘れないで欲しいんです。

 ————薄毛ということに対する認識、美意識としての「綺麗になりたい」という見た目に対する意識について、どこか「ぜいたくだ」という、貧しい時代の価値観がこの国には依然として残っているんですね。
しかし、私の若い頃に流行った「不良の溜まり場」とされたインベーダーゲームのようなものが、ファミコン、プレステゲーム産業になり、「おたく」と一般社会から軽視されていたマンガ、アニメ「クール・ジャパン」の代名詞ともなるくらい産業化されています。
薄毛治療を含めた美容を今後は主力産業の一つとして、現在のメディカル・ツーリズムのインバウンド需要だけでなく、しっかりとした経済戦略として位置付け、世界にしっかりと発信する段階にきているのかもしれません。

 音田————私たちは、医師として薄毛で悩んでいる方々とこれからも真摯に向き合い自毛植毛の治療をすると同時に、新しい世の中の価値観を、また時代の需要としてあるその事実とも向き合い的確に発信し続けてまいりたいと思います。

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音田 正光

おんだまさみつ

医学博士

親和クリニック総院長。医療法人社団三幸音和会理事長。 大学を卒業後、一般外科、消化管外科、乳腺内分泌外科の臨床、および分子生物学、腫瘍学の研究に約10数年従事したのち、植毛手術を開始。最近の10年間で、前半の約5年間はFUSS手術をメインに執刀。症例数は約1000例超、その後もっぱらFUE手術を行う。FUE手術の症例数は約2000例に上る。平成20年、採取に動力パンチを用いたFUE手術に関する論文を執筆し、この分野の先駆的報告となった。  

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