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「室町時代はまさに新自由主義」
お金の流れから見える織田信長の“本当の業績”とは?

インタビュー/『経済で読み解く 織田信長』著者・上念司

――この本は経済書といいながら、戦国大名や寺社勢力入り乱れての戦いが活写されていて戦国絵巻を見ているような感じもしたのですが、これも最初から意図されたことでしょうか?

上念:そうです。この本は「平成の仮面ライダーシリーズ」なんです。平成の仮面ライダーシリーズというのは、それまでのものと違って「敵対勢力のほうにも戦わざるを得ない理由がある」ということをきちんと描いているのです。仮面ライダーの敵はただ悪いだけじゃないんだよ、彼らが悪を為すのはそれなりの理由があるんだよ、という描き方をしているんですね。
戦国の時代も同じです。織田信長の敵対勢力である他の戦国大名とか寺社勢力にもそれぞれに、それなりの理由があって戦っていたんです。それは当たり前の話ですよね。だからこの本ではどちらかというと信長よりも敵対勢力の方が詳しく書かれているのです。

 

寺社勢力がなぜこんなにも対立し合っていたのかというのは一般の人にとっては謎だと思うんですよ。だって、ふつう禅寺なんていうのは枯山水と座禅、あるいは問答とかをやっているだけの極めて平和的なお寺と考えますよね。ところが室町時代の寺社というのは全く違うんです。本にも詳しく書いていますが、臨済宗などは鎌倉時代から応仁の乱にかけて日本経済を牛耳(ぎゅうじ)っていた巨大マフィア的存在だったんですからね。

――本書に登場する戦国期の人々(武将、僧侶、庶民)は、かなりアグレッシブで、平和ボケした現代人とは異人種のように見えます。日本人は変わったのでしょうか?

上念:基本的には日本人は変わっていないと思いますよ。戦後、日本人は押し付け憲法(日本国憲法)のもとでもしたたかにやって来ました。また、70年経って、歴史の歪曲というのをしっかりと元に戻し始めてきたということはあると思いますね。
今回の安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談を見ていてもそれは分かります。あのようなアグレッシブな総理大臣を選んだ、しかも過去3回の選挙でそういう与党に圧倒的多数を与えているという日本人の感性、考え方というのは、戦国時代の人々とも繋がっているんだなというふうに私は思います。
とはいえ、学校教育とか、公的な部分ではいまだに「リスクを取るな」「リスクをとるヤツは危ない、山師みたいなヤツだ」みたいな教育が行われています。学校だけでなく家庭でも「安定した職業に就きなさい」「公務員になりなさい」「大きい会社に入りなさい」「資格をとりなさい」…そういうことばかり言っているわけですよね。
でも室町時代は、リスクをとってチャレンジする人が尊敬されていたわけです。実際にそういう人が大成功しました。なかには武将にまで上り詰めた人もいたわけです。下克上というのはまさにそういう時代ですからね。なんと、僧侶のなかにもそういう人がいたんですよ。僧侶なのに大富豪みたいな人もたくさんいましたからね。

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上念 司

じょうねん つかさ

経済評論家。1969年、東京都生まれ。

 中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。

2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。

2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。

 金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。

 著書に、『≪完全版≫「日本ダメ論」のウソ』(イースト・プレス)、『TOEICじゃない、必要なのは経済常識を身につけることだ! 』(ワック)、『デフレと円高の何が「悪」か』(光文社)他多数。


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