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そもそもなぜトランプは支持されるの?3分で分かるトレンドワード【トランプ政権と大統領令】

トランプ政権への疑問を慶應義塾大学教授・渡辺靖氏に解説してもらいました!①

●「アメリカ第一主義」の先にあるもの、トランプ大統領の役割は?

シズカ…先生、ではよく言われる「アメリカ第一主義」というのはどういう意味ななんでしょうか。
渡辺…言葉のとおり、アメリカの利益を最大限に追及する、ということなのですが、それは主に経済を中心に据えています。トランプさんは、これまでアメリカは気前が良すぎた、と思っている。例えばほかの国が(アメリカから見て)「不公正」な貿易をしても、世界のために、他国のためにと目をつむってきたのだ、と。その結果、「五十年代」とは打って変わって、非常に疲弊したアメリカになってしまった、「我々は寛大な犠牲者だ」という考えです。だから、まず、そういう気前の良さや他国、世界のためという発想はちょっと脇に置いておいて自国の利益を追求しますよ、そのためには相当タフな交渉もいとわないですよ、というものですね。

第2回:大統領令、ツイッター……トランプが言ったことは全部実現するの?
第3回:「トランプ・アメリカ」最悪のシナリオと最高のシナリオは?】​

シズカ…なんだか、まっとうな気もするんだけれど……。
トオル…うーん、確かに……。
渡辺…そうですね。自国の利益を追求するというのは当たり前のことで、自国中心主義、と言いますが、それはあながち間違いではない。「雇用を取り戻す」というスローガンもそのとおりでしょう。ただ……、懸念すべきは、トランプさんの考える「アメリカの利益」というものが、非常に狭すぎる、という点です。
トオル…経済だけ、ということですね。それ以外のアメリカの利益とはなんでしょう。
渡辺…同盟国の利益や、国際的な枠組みも当てはまるでしょう。また、民主主義や法制度、人権といった歴史的にみてアメリカが大事にしてきた価値観すら、脇に置いているようなイメージがあります。長期的な視点でみたとき、それは果たしてアメリカの利益となるのかというと疑問です。
シズカ…そうすると、これまで「世界の警察」と言われたアメリカではなくなる、ということでしょうか。
トオル…そうか、それもトランプさんからすれば「気前の良いこと」になるな。でも「世界の警察」ということで言えば、オバマさんも否定していましたよね。
渡辺…そのとおりです。ただし、少なくともオバマさんは、地球環境問題や核兵器廃絶に向けた取り組みといった多国間の枠組みを重視していました。トランプさんの場合は、「多国間」と名の付くものはすべてアメリカにマイナスだ、というイメージがありますね。確かに世界は多極化しています。けれど、なんだかんだ言って――それが良かったか悪かったかは別問題としても――アメリカがこの70年くらいの間、国際秩序において「重し」の役割を果たしてきたのは事実なんです。もし、トランプさんがその役割から身を引こうとしているのであれば、当然の帰結として混乱や、力関係の大きな変化が生じるし、アメリカが身を引いた分だけ、力の空白というのが起きてしまう。そうすると、そこを埋めようとする勢力が台頭して来て、自由な国際社会、――リベラルな国際秩序という言い方をしますけれど、民主主義に支えられた世界というのが壊れてしまうんじゃないか。各国がトランプさんの言う「アメリカ第一主義」に懸念を示しているのは、そうしたことからでしょう。
シズカ…トランプさんが少し怖くなってきたけれど……。やっぱり政治経験がないことが影響しているのかしら。
渡辺…そうですね……、政治経験がないというのはトランプ氏にとってのセールスポイントでもあったとは思います。「怒れるアメリカ国民」の声を背負って大統領になったので、その気持ちに忠実でありたいという気持ちが強いことは、署名をした大統領令などから見てもよく分かる。選挙中に掲げた政策を次々と実行しようとしているわけですからね。ただし、こうした言動が、どのくらい熟慮されて発せられたものであるのかが、とても気になります。閣僚が少しずつ決まってきていますが、きちんと話し合いは持たれているのか。政治の世界では、駆け引きや根回しをして落としどころを見つけることが非常に重要です。政治経験がないので、そういった部分は分からないはずですし、逆にトランプさんもそこを重視していないのでしょう。だからみんな驚いている。
トオル…そういうスタンスは、歴代の大統領とはやはり違うんでしょうか。
渡辺…オバマさんも上院議員を一期務めただけで大統領になりましたから、「駆け引きがうまくない、したたかさがない」と言われ、党派対立が激化した原因のように言われていました。トランプさんの場合はそれ以上ですね。

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