AIの時代だからこそ人間にしかできないことを

著書『人工知能が変える仕事の未来』(日本経済新聞出版社)は発売2か月半で第5刷

 AI時代の教育、人材育成についてはどうでしょうか。拙著『人工知能が変える仕事の未来』では、AIの時代だからこそ、少なくとも当面はヒト固有と思われる、人間間の深いコミュニケーション、説得力を磨く部活動や、人間学の多くを占める人文科学、さらには芸術の教育が重要になってくる、としています。しかしながら、理工系のリテラシー教育に力を入れろ、と、これまた、下手に適用すると、真の創造性発揮の足を引っ張りかねない教育談義も起きています。

 どちらが正しいか? 筆者の説は今のところ少数意見です。しかし、説得力を感じられた方にとっては、人工知能によって人間の職が奪われると考えるのは早計だということです。拙著『人工知能が変える仕事の未来』でも書いたように、人工知能による生産性向上は高々年に数%であり、それが20年続いても米国のホワイトカラーの生産性に及ばないという数字があります。

 これからの人間と機械の役割分担の基本戦略としては、拙著にも記したように「既存の仕事の流れ、やり方、業務フローを見直し、いったんバラバラに分解して、次に、AIを取り入れて再構築」した上で、「人間は人間の得意な判定により機械向けトレーニングデータという副産物を作りつつ本業をこなし、機械は人間たちの判断に対して、広さ(カバレージ)と精度を補完する」。

 AI導入の過程で、より高度で、人間らしい判断を要求する新しい仕事がどんどん生まれます。まだまだ新サービスやサービス改善・拡充を支える創造的業務の人手不足が続きます。お疑いの向きは、まず凝縮して書いた本書500ページ弱を通読いただき、業務の現場を事例に緻密な反論を、ぜひお願いいたします。