トランプが離脱署名で議論に。「EPA」「FTA」との違い、分かっていますか? 3分で分かるトレンドワード【TPP】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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トランプが離脱署名で議論に。「EPA」「FTA」との違い、分かっていますか? 3分で分かるトレンドワード【TPP】

【TPP】を慶應義塾大学教授・渡邊頼純氏が徹底解説①

●3.2兆円どころではない! TPPのとてつもない経済効果

 

渡邊…まず、単純にTPPによって関税がなくなっていくので、色々な商品を売り込みやすくなって輸出額が増加する、というのはすぐ想像がつくと思います。さらにもっとマクロな視点で考えるとTPPによって、アジア太平洋圏における生産ネットワークが強化され、「モノ」だけでなく、「サービス」、「ヒト」、「資本」。この4つをダイナミックに動かすことができる。これは日本経済にとって大きなメリットといえるでしょう。

シズカ…具体的にはどういうことでしょうか。

渡邊…日本の工作機械メーカーを例にとってみましょう。いまこういった機械=「モノ」は、使用拠点であるマレーシアやベトナムといった国々に多く輸出されます。ただ精密機械ですので、ホコリが入ってはいけません。だからキレイにラッピングして壊れないように丁寧に運んで設置しなくてはいけない。ここで輸送、さらにその安全な輸送を保証する保険、といった様々な「サービス」の需要が生まれます。そしていざ機械がマレーシアやベトナムに届けば、今度はそこで働く「ヒト」も当然必要になるでしょう。

 そして最後にそれらを動かすための「資本」。この4つがTPPによって国境を超えてダイナミックに回るようになります。これまでは例えばモノの移動に対しては関税、サービスに関しては種々の規制、といった壁がありました。それがTPPによってなくなる。そして、日本がこの30数年間に渡って作り上げてきたアジア太平洋圏での生産構造が揺るぎないものになる。そういったマクロな視点から捉えるとTPPが日本にもたらす経済効果は当初言われていた3.2兆円どころではなく、潜在的経済効果は測り知れません

第2回につづく】

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