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「練習をしない」勇気も大事。阪田哲男氏が指南するゴルフの心構え

打つ前の「準備」でゴルフは変わる 【2/3】

ゴルフはショットを打つ前がとても大切です。
自宅、練習場、ラウンド前、そしてコース……。
世界アマチュアチャンピオン・阪田哲男氏が“完璧なフィニッシュ"をつくるための「ルーチンワーク」を伝授します。
第2回目のテーマは、「一夜漬けの練習は意味がない」です。

 明日は久しぶりのゴルフなのに、まったく練習をしていない。「これはまずい」と、あわてて練習場に駆け込んだ経験がある方は少なくないでしょう。
打席に入るとウォーミングアップもそこそこに球を打ち始める。中には、いきなりドライバーを振り回す強者もいます。焦る気持ちはわかりますが、果たしてそれが翌日のゴルフにつながるのか、冷静になって考えてほしいのです。
 日ごろ練習しないゴルファーがプレー前日に限って練習場に行くのは、「ちゃんと当たるだろうか」という不安があるから。多くの人はその不安を解消するために、やっきになって球を打っています。うまく打てなければ、「あそこが悪いのか、それともここが悪いのか」とあれこれとスイングをチェックし始める。その結果、いい球が出始めることもあれば、さらに当たらなくなってしまうこともあります。いずれにせよ、翌日のゴルフでいいプレーができる可能性は低いでしょう。

 理想を言えば、月イチや2カ月に1回くらいしかラウンドできない方でも練習は定期的にやっておいてほしいのです。1回の練習で、50球でも100球でも構いません。定期的に練習することでクラブを振る動き、グリップやアドレスの感覚を忘れないようにしておくことが大事なのです。その積み重ねがスコアになって表れるのです。

 そうは言っても、日ごろは仕事が忙しくてなかなか練習ができないという方もいるでしょう。そのような方が、どうしても前の日に球を打っておきたいと練習場に出向いた時は、「練習をしない」ということを心掛けてほしいと思います。
 練習場に行って練習をするなとは、おかしなことを言うと思われるでしょう。別の言い方をすれば、「うまくなろうとするな」ということなのです。
練習というものは、簡単に言えばうまくなるためのものです。それは日ごろやるべきもの。
 前日の練習は結果を求めるのではなく、アドレスの向きやグリップの感覚を確かめ、フィニッシュで体がきちんと左に回っているかなど基本的な体の動きをチェックする程度にとどめておいてほしいと思います。多少球が曲がっても、気にしなくていいのです。
 あれこれスイングを考えて仮にいい球が出始めたとしても、ほとんどの場合、それは一時的なものです。翌日になると、きれいさっぱり忘れていることでしょう。ラウンドでうまく当たらないと「昨日はあんなに調子が良かったのだから、こんなはずはない」と力が入って余計にリズムが崩れてしまいがちです。
 若いころ、中村寅吉プロにこんなことを言われました。
「スイングをつかんだと思っても、一晩寝りゃ忘れちゃうんだよ。学校で試験の前の晩に一生懸命勉強したって寝てしまえば忘れるだろ。あれと一緒だよ。寝ないでやりゃあ覚えているんだけどな」
 その通りだと思います。
 一夜漬けに即効性はありません。何百球打ったところで、急にうまくなることはないのです。前日練習に行くのなら、それを理解した上で焦ることなくスイングの感覚を確かめる程度にとどめてほしいと思います。<続く>

 

<『打つ前の「準備」でゴルフは変わる』(阪田哲男/著)より抜粋>

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阪田 哲男

さかた てつお

1949年生まれ、大阪府出身。

 世界アマに11回出場。84年には個人メダリストに輝き、日本を初の世界一に導く原動力をなった。

 通算タイトルは100以上。日本を代表するアマチュアゴルファーである。

 著書に『「ゴルフ力」の鍛え方』(パーゴルフ)、『阪田哲男のゴルフ魂』(日本経済新聞出版社)などがある。


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  • 阪田 哲男
  • 2015.12.09