【どうなる2017日本】

藤井 ところでまさに今、戦後レジームが抜本的に変わろうとしています。アメリカとの関係、ロシアとの関係も変わろうとしている。無論、今、アメリカとの関係については、お互いの「許せない」という感情を乗り越え、取るべき責任や国境を度外視して地球市民として戦争を反省し、未来を向いていこう、その第一歩を広島とパールハーバーへの訪問から踏み出そう——そんな空気が日本にはある。

適菜 それが全否定されたのが2016年でしたね。安倍はかつてのブロック経済化により戦争になったんだから、グローバリズムで行くといったあたりで思考停止していますが、そういう花畑的な思考が完全に通用しなくなった。世界各国が大慌てで対応している中、日本だけが逆噴射している。非常に危険な状況です。しかもそれを「新しい」とか「特別な」といった軽い言葉で乗り切ろうとする軽薄さはすごいですね。

藤井 ナチスのヒトラーも、「ハイル・ヒトラー」っていう言葉一発で全部、乗り越えていったわけです。僕は、戦前を全否定するわけではないですが、「一億総玉砕」という言葉の中にあるメンタリティと似ています。適菜さんは、そういう問題が安倍さんの言葉遣いの中にあるというご指摘かと思いますが、一般には(例えば、ネット右翼などがその典型ですが)、「安倍さんの『本心』は、人気を獲得した上で本当に日本の国益のために働きたいと考えている、そのための手段として、耳障りのいいことを言っているのだ」と指摘されています。

適菜 確かにそういうことを言う人もいますね。憲法改正という大きな目的のために、今は財界の言いなりになっているだけだとか。

藤井 僕には何が真実なのかは断定できませんが、少なくとも憲法改正について言うなら、外国人の政治家の招聘を平然と口にするような人物と組んだら、真っ当なものには絶対にならない。

適菜 そもそも安倍の憲法観自体がデタラメですから。道徳観を憲法に組み込もうとしたり、憲法自体を理解していない。自民党が2012年に作った憲法草案は小学生の落書き以下ですよ。さすがに自民党内からも批判が出ましたが。谷垣禎一が「あれは盛りすぎた」って。伊吹文明も「非現実的だ」と切り捨てた。いい加減に作っておいて、正式には取り消していないわけですよね。安倍と橋下が組んで、憲法改正したら、文字通り日本は崩壊します。だから今は保守は護憲に回るべきです。

藤井 当然、悪いところは改正すべきだと思いますから、僕は「改憲派」に分類することもできます。だけど一方で、とにかく何でもいいので、変えりゃいいという意見は阿呆そのもの。絶対賛成できない。

適菜 むしろ危険です。

藤井 例えば橋下氏は大統領制の導入を主張していましたが、これは恐るべき意見。何が危険かわからない人も多いと思いますが、そもそも大統領とは元首(へッド・オブ・カントリー)。一方で「内閣法制局」も日本の元首は天皇という見解を認めている。だから橋下氏は皇室を廃止すると言っているのに等しいわけです。日本にとってこれほど恐ろしい主張はない。

適菜 議院内閣制の否定にもなりますね。

藤井 仮初めにも憲法改正について意見を表明するなら、最低限の常識、見識を持たねばならない。大統領制や外国人政治家を推奨する人物には、そういう見識がないと断定せざるを得ない。

適菜 しかも橋下の場合は、平気でウソをついたり、グラフの数値を改ざんする確信犯的な詐欺師ですからね。

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