本の「推薦文」なんて意味がない

――無理な注文ってどんなことですか?

 

 一番モメたのは「表紙に僕の名前を入れない」と言ったときです。「それって本としてありえない」って出版社から猛反対されて。でも、「にしのあきひろ」を表紙に入れたら、本がインテリアとして機能しにくくなる。結果、英語表記にすることで手打ちにしました。
 あとは、「帯もなくしてください」って。でも編集者の方が帯の裏をメッセージカードのあしらいにしてくれて、これはプレゼントとして機能するからいいなと思って、帯をつけることにしました。よく本の帯に推薦文ってありますけど、いらないですよね。少なくとも、『えんとつ町のプペル』に関しては、表紙のイラストの方が帯コメントよりも遥かに雄弁です。
 それに、棚ざしになったら帯なんて意味がないし、平積みのときは当然隣にも平積みの本が置かれている。僕の本の隣に宮崎駿さんが推薦している本があったら、そっちに目がいってしまう。日本一、世界一の人の推薦文があれば別ですけど、その辺の有名人さんの推薦をもらったとしても「負けの要素」を作ってるだけだと思うんですよ。お金をかけて負ける要素を作る意味がない。


――色々な無理難題を言っている手前、売れない本を作ることはできなったわけですね。

 

 本当にみんなで作った絵本ですからね。『えんとつ町のプペル』は一回演劇もやっていますし、『えんとつ町のプペル展』という個展のスタッフさんの力もお借りしました。とにかくものすごくたくさんのスタッフさんに支えてもらって生まれた本です。
 売り上げ面では個展が本当に大きい。いまは個展を活かして、最終的には絵本とアートの境界線を曖昧にして、アート作品の売り上げで次回作の絵本を作る、そういった収益の仕組み…というか産業を作ろうとしています。
 絵本の発売が個展の宣伝にもなって、個展会場に人がいっぱい来て、個展で絵本の絵を売る。絵が売れたことがニュースになると、絵本の売上の後押しになるし、絵の売上は次回作の製作費に回すことができる。
 たとえば、絵本の作り方の一つに、そういった選択肢があるとよくないっすか?

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