中国の南シナ海軍事拠点化の真相

 

 その後、永興島を中心に、南シナ海の軍事拠点化を進め、一九八八年には二六〇〇メートル以上の滑走路と港湾を建造。二〇一二年には南沙、西沙、中沙諸島をまとめた海南省三沙市への行政区分が公式に発表された。現在、解放軍、武装警察部隊、役人、若干の漁民を含む一〇〇〇人が住み、ガソリンスタンドも銀行もスーパーもファストフード店もあるミニ都市島が出来上がっている。

 南沙諸島は、中国のほか、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイがその全体および一部の領有を主張して対立。台湾が太平島および東沙諸島を実効支配、フィリピンはパグアサ島など一〇カ所を実効支配していた。もっとも広範囲を実効支配していたベトナムは一九八八年、中国解放軍海軍と交戦して負け、ファイアリークロス礁、スビ礁などを武力でもって奪われた。中国はファイアリークロス礁を解放軍南海艦隊の戦略拠点とすべく二〇一三年には中国移動(チャイナモバイル)の通信基地を開設、軍人ら二〇〇人を常駐させている。

 南沙のミスチーフ環礁は、フィリピンが実効支配していたが一九九五年、在フィリピン米軍が完全撤退した時期、中国にミスチーフを漁民の休憩所に貸してくれと頼まれてうっかり承認したのが運の尽き。いつの間にか勝手に島に建造物を造り実効支配を奪ってしまった。ちょうどモンスーン時期でフィリピン海軍のパトロールができなかった隙をついての行動だった。

 フィリピンは抗議を行うが、中国は建造物は自国の漁師を守るためのものとうそぶいて、そのままだ。実際は、ヘリポートや風力発電施設もあり、軍事施設だと見られている。スビ礁では、レーダー施設の建設が二〇一二年に確認され、また三〇〇〇メートル級の滑走路も建設している。

 二〇一二年は中国のウミガメ密漁船を拿捕したフィリピンに対し、解放軍海軍は「漁民の安全を守る」という建前でスカボロー礁に艦船を進攻させた。中国とフィリピンの海軍がにらみ合いを行っているときに、米国が仲裁に出て、双方撤退することで合意したはずが、撤退したのはフィリピンのみ。中国はまんまと実効支配を奪い、コンクリートなど建設材を運び込んでいる。この中国のやり方に腹を立てたフィリピンは二〇一三年一月、オランダ・ハーグの国際仲裁裁判所に中国を提訴した。

次のページ 七〇年代から始まっていた南シナ海軍事進出