萬古焼とはどんな焼き物ですか?
清水 日本国内には、いろいろな焼き物の産地がありますが、萬古焼は三重県の四日市を中心とした一帯で焼かれたものを萬古焼と呼んでいます。うちはこの急須がメインですけれど、工房によって、土鍋や花入れなど、いろいろなものを作っていますよ。

それぞれ個性が違う急須を興味深く見るKさん。

K さきほど、急須を見せて頂いたんですが、ひとつひとつに個性があり、大きさが違ったりして、丁寧に手作りされていることが伝わってきました。
清水 萬古焼では、紫泥土を使うんですが、釉薬(ゆうやく)を使わずに焼くとこの急須のように渋い色になるのです。そのあとに柄をつけていくのですが、細かい砂を吹き付けて、表面を削ることで、この柄が浮き出すんです。また、紫泥は削る深さによって、色が違うんです。深く削ると白っぽくなり、表面をうっすら削ると黒っぽいんです。こういう色の差が出るのが、萬古焼の紫泥の特長なんです。

削る深さによって色彩を表現している。

 凹凸があって、立体的な絵を楽しめますね。
清水 代々、昔の人たちが作り上げてきたものが、引き継がれ、今の萬古焼となっています。そういう大切な伝統を守るということには、相当こだわっています。でも、守るだけじゃダメだというふうにも思っているんですよ。僕らが担うのは、過去のものを受け継ぎ、後世、未来の世代へ引き継ぐことでもあるんです。
K まさに過去と未来とを繋いでいく立場なのですね。
清水 はい。そのためにも、新しいこと、次の世代の人たちが、どういうものを求めているのかということにも目を向けて、考えなければいけないし、そういうものを取り入れた新しいものを発表しなくちゃいけないと思っているんです。K さんは音楽を作るうえで、そんな意識はありますか?
K 「時代の流れを取り入れつつ、伝統も残しつつ」という気持ちは、僕らミュージシャンにもあります。だから、清水さんのお話を聞いて、伝統工芸に携わる清水さんたちと、僕らも同じだなと思いました。
清水 そうなんですね。
K 昔、自分が聞いて影響を受けた音楽があり、オリジナルで作った楽曲が、自分のルーツミュージックに影響を受けることもありますし、ルーツを大切にすることも重要だと思っています。でもだからといって、“今の時代の流れ”も飲みこむというか、それに対して気を配っていかないと、聞いてくださる方に届かないのではないかって思うんですよ。やはり聞いてくださる方がいて、初めて音楽だと思うし、届いたことで、初めてアートが生まれるんだとも思うんです。だから、リスナーがどんな社会に生きて、変化しているのか、そういう時代の流れを感じながら、ものを作り、作品を残すというところが、清水さんたちと同じかもしれないと思ったんです。
清水 そうですね。そこは共通点ですよね。焼き物と音楽の、なにかコラボとか、そういう新しい未来へ向けての発想も面白そうですね。
K そうですね。なんだか楽しそうです。