「安倍政権は民進党よりマシなのか?」<br />自称保守やネトウヨの「短絡思考」の罪悪。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「安倍政権は民進党よりマシなのか?」
自称保守やネトウヨの「短絡思考」の罪悪。

作家・哲学者の適菜収が「安倍政権の無能と欺瞞」を討つ批判の毒矢

 エロ本の定番といえば、包茎手術の広告だろう。「包茎のままでは女のコにモテないゾ」などと情弱を脅す商売だ。さらに「病気になる」「早漏になる」などと追い討ちをかけられ、不安と恐怖に打ちのめされた若者はバイトで貯めたカネを握って「やさしい」院長のいるクリニックの扉を開く。

 しかし、チンポを見てから彼氏を決める女のコなどいるはずもない。

 女性誌の定番のダイエットの広告も同様。「夏に間に合う」「わずか一〇日間」などと謳い、「彼氏ができた」といった購入者の喜びの声をでっち上げる。普通に考えれば、ブスが瘦せたところでモテるわけがない。モテない原因は別のところにある。

「改革しなくちゃ日本は生き残れないゾ」「憲法を変えないと自信を持てないゾ」「集団的自衛権がなければ日本を守れないゾ」と脅せば、仮性包茎の情弱がコロリと騙される。

 私は独立国が軍隊を持つのは当然だし、憲法の矛盾は改正により解決しなければならないと考えている。ただし、小学生の落書きレベルの自民党の改憲案に乗るくらいなら、今の憲法のほうがはるかにマシ。憲法に道徳の問題を持ち込んだり、変えてはならないところを重点的に変えたり。

 安倍の憲法観がデタラメであることはすでに述べたが、問題は不安と恐怖に打ちのめされた情弱が、九条改正というエサを与えられれば、まわりに汚物がついていても食べてしまうことだ。

 

「革命気分」

 二〇一六年七月の参院選では、選挙権年齢を「二〇歳以上」から「一八歳以上」に引き下げる改正公選法が国政選挙としては初めて適用されたが、ある若者が「もっと多くの若者が国政に出て、市民の声を届けてほしい」とインタビューに答えていた。それで、いま日本にとって一番大切な政策は何だと思うかと質問されると「議員定数の削減」であると。議員数を減らせば、当然、「市民の声」は政治に届きにくくなる。要するに、自分が何を言っているのかすらわからないのだ。

 某テレビ番組が、渋谷にいた一〇代の有権者にアンケートをとったところ、「ポスト舛添」にふさわしい人物として第一位になったのが橋下徹だった。選挙権年齢の引き下げの危険性を示すような事例であるが、かといって大人がまともなわけでもない。

次のページ既得権益を持った連中が、「既得権益を壊せ!」と叫べば、大衆は、脊髄反射的に国や社会の破壊に駆り立てられていく…

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  • 2016.11.16