ファストフード店で記念撮影に映り込む

 疲れたら、ファストフードのお店にも入ってみよう。もちろんどこにでもあるお店だ。ただそれも楽しい。夕方付近、学校帰りの高校生たちがいるファストフード店に入ると、地元の言葉が行き交っている。もちろん言葉の意味はわかるけれど、イントネーションが違ったり、知らない固有名詞が出てきたりする。

 そんな高校生の話を聞くためにファストフード店に行く。高校生でなくてもいいのでは? と思うかもしれないけれど、大人は声が小さいのだ。高校生は声が大きいので、そのような会話を聞き取ることができる。

 やがて、なんの記念日なのか知らないけれど、女子高生が友達とスマホで記念撮影を始める。「ミスドに来た128回目記念」とのかの撮影かもしれない。そんな写真に写りこむ!彼女たちの後ろで、バレないように写りこむ!

 彼女の後ろで何食わぬ顔をして、カメラの方を向くのだけれど、「あっちになんかある?」みたいな表情で向くのである。彼女たちが邪魔でそっちの方向が見えないから、体を動かしている、みたいな演技を行う。イメージとしては、唐揚げ弁当のスパゲッティのような気持ちだ。

 一人で来ている。一人ゆえせっかく旅行に来たのに記念撮影というものがない。自撮りをすればいいけれど、男の自撮りはどうも恥ずかしい。そこでどうにかここに来たことを残そうと彼女たちの写真に写りこむ。

 撮影を終えると彼女たちは、スマホをいじりだす。それと同時に私もスマホをいじるのだ。Twitterで「地名 ミスド」とか、「ミスド 記念撮影」といったキーワードでツイートを検索するのだ。それはたとえばとかである。いま撮った写真がアップされていないか、自分が写り込んだ写真がアップされていないか確かめるためだ。誰かにアップして欲しいのだ! この日、この時、この場所に、自分がいたという証を探すためだ。ただ今のところ、出会えていない。女子高生よ、どんどんアップしてください。

 旅行に出かけるとそんな1日を過ごす。どこかの駅で降りて、地元のスーパーに行き、知りもしない住宅街を歩き、ファーストフード店で写真に写りこむ。そして、もし私がここで生活をしたら、を妄想する。これが楽しいのだ。観光地に行かない、男一人旅のあるべき姿なのではないだろうか。自分の「イフ」を体験できるのでオススメだ。