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危険だらけの「動物治療」からペットを守れ!

ペットは自分で「ここが痛い」「調子が悪い」などということはできません。大切なペットを守るためにも、危険な動物治療の知識を身につけましょう。

しゃべれないワン……。

 近年、多くの飼い主が愛犬のケガ治療に悩みを抱えています。

 飼い犬がケガを負い、獣医の治療を受けてもなかなか完治しない。ようやく治ったと思ったら、以後、骨折を繰り返すようになったり、歩行障害が出てしまったり――。特にチワワやトイ・プードルなどの小型犬に人気が集まる現在、ちょっとしたことで重傷を負うケースも多く、ペットのケガ自体が増えています。

 飼い犬が突発的な事故で大きなケガを追ったとき、飼い主の多くはかかりつけの獣医に助けを求めます。ところが、獣医の診断のもとで手術を受けたにもかかわらず、数カ月たっても正常な歩行ができなかったり、再発を繰り返したり……そして、再手術、再々手術、二次診療施設へのたらい回しという事態が続出しています。

 もちろん獣医はペット治療のプロですから、誤診や手術ミスではないはずです。しかし、何人もの獣医に診てもらっても改善しない。誰を頼ればいいのかわからない。飼い主には費用の負担と悩みが募るばかりです。
ではなぜ、このような事態に陥ってしまうのか――。実は買い主を悩ませる根本原因は、古くから推奨されているペット手術の方法にあります。

 たとえば、獣医大学で正しい術式として指導されているものに、「プレート」を使用した骨折治療があります。骨折箇所を手術で大きく開き、金属のプレートを直接骨に当ててネジで留めるのですが、プレートを装着することで、骨折が治らなくなったり、骨が細く弱くなってしまい、骨折しやすくなったり歩行障害になったりするケースが多いのです。とりわけ小型犬はもともと骨が弱いため、障害を負うリスクが高くなっています。

 当然、獣医もこのリスクを知らないわけではありません。ただ、今の獣医のガイドラインでは他に推奨される方法が載っていないために、たとえリスクが高くても他の選択肢が知られていないという事情があります。また、それだけでなく、プレートを使用する手術を行えば「とりあえずお金になる」というビジネス上の理由から、リスクを知りながら積極的に手術をすすめてくる例もあるのが実態です。

 飼い犬が大ケガをすれば、飼い主は獣医を頼る以外にありません。ところが治るかどうかわからず、むしろかえって悪化することさえあるとしたら、不安で仕方がないはずです。このまま一生歩けなくなるかもしれない――確実に愛犬のケガを完治させ、不安を解消するにはどうすればよいのでしょうか。

 

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岸上 義弘

きしがみ よしひろ

岸上獣医科病院

相談役

1956年大阪出身。1978年麻布獣医科大学卒業。その後、米国カリフォルニア大学デイビス校神経外科研究室に2年間研究留学。鳥取県の山根動物病院にて研修を行う。1983年より岸上獣医科臨床獣医師として従事、30年以上にわたり日本全国の外科難病症例のサポートにあたる。1998年より京都大学再生医科学研究所において、脊髄、末梢神経、骨、靱帯、皮膚、腎臓などの再生についての研究を行い、ペットへの幹細胞移植の第一人者と称される。2005年、日本獣医麻酔外科学会認定の設立専門医資格を取得。現在、日本獣医再生医療学会会長、宮崎大学・鳥取大学・大阪医科大学非常勤講師。


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