バーチャルリアリティ元年

 OculusRiftコンテンツは現在個人制作が主流だが、商業利用も始まっている。例のひとつとしてRoomVRというものがある。これを利用すると、今まで確認することのできなかった建設前の物件の確認やシミュレーションを行うことができる。今までのコンテンツと違うのはOculusRiftの没入感を利用して実際にそこにいる感覚を感じながら一人称視点から物件を確認できる点である。

 他にはコンタクトレンズを装着した感覚を味わうシステム、ドローン(*4)につけたカメラから撮影した風景をOculusRiftを通して見ることができるシステム、など。商業利用の方向としても注目されている。

 こうしてOculusRiftが巻き起こしたバーチャルリアリティブームは商業、非商業問わずこれから広まっていくだろう。2013年はバーチャルリアリティ元年と言う人がいたが、私もそう思う。OculusRiftDevelopmentKitが出荷されたのは去年の5月でありながら、わずか1年ほどでこうして大きな流れを巻き起こしている。そして一開発者としてその可能性を実感しているしこれからは更なる速度で大きな発展をしていくことを確信している。

 また現在仮想世界に入り込むための技術は何もOculusRiftだけではない。

 例えば、「PrioVR」では腕や足、腰などに装着するデバイスがあり、これにより自分の手足の動きをトラッキングして映像内の仮想モデルにそれを適用する技術が生まれている。つまり、このデバイスを自分の体に取り付けて、銃を構えるポーズをすれば実際に映像中のモデルも現実の自分と同じポーズをするのである。

 さらに仮想世界を歩く技術も生まれている。「Virtuix Omni」や「Virtualizer」は、摩擦の少ないプレートを足元に置き、そこから歩く走るなどの行動をトラッキングし、また腰に装着するリングによってジャンプやしゃがむ、座るなどの行動もトラッキングが可能である。

 これらを全て組み合わせることで、自らのアバターを一人称の視点で自分の手足のように動かしつつ仮想世界を自由に移動することが可能になる。もちろん仮想世界内での自由度が増えることは大きな意味があり、この技術は単純にゲームとして応用が効くほか、手術やコックピットなどのシミュレーションもより有意義なものになるだろう。

 私も、LeapMotionと呼ばれる手と指の動きをトラッキングするデバイスとOculusRiftを組み合わせ、キャラクターモデルの一人称視点からキャラクターの指の動きを見るというソフトを作ったことがあったが、指の動きは自分のそれであるのに見えているのはキャラクターの指であるというなかなか不思議な体験をすることができた。

*4……無人で飛行することが可能な航空機のこと。