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南シナ海、東シナ海、尖閣諸島…
「習近平の戦争」に日本が
巻き込まれる可能性とは

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

 もし、東シナ海で日中の戦闘機のどちらかが墜落したら? どちらかのパイロットが死亡するような事態があったら? パイロットがうまく脱出できたとしても、そのパイロットや機体の残骸を万が一、中国側に回収されたならば? あるいは、日本側が回収したとしたら? 尖閣諸島に戦闘機の残骸が落ちたら? その回収を目的に、日中双方が同時に尖閣諸島の上陸を目指すことになるのか? そのとき、どういう事態が想定されるだろうか。

 あるいは、漁民に扮した海上民兵が尖閣に押し寄せ、上陸したら? 中国海警局が漁民を保護するために尖閣に上陸する可能性はあるだろうか?

 そうなったとき、日本はどういう行動をとらねばならないか。そのとき、国内法的にどういう障害があるか。国際社会は日本の味方をしてくれるのか。今の日本は、そういう危機的状況に直面したときのことを、あえて考えないようにしている。

 習近平の強軍志向や米国への侮り、対日強硬姿勢を見ると、二〇〇一年のころよりも、紛争への発展危機はよほど大きい。日中で局地的、短期的であっても紛争が勃発する可能性はたしかにある。

 そのとき、中国に暮らす約一三万人の邦人はどのようなリスクを背負うのか。進出企業の資産や投資はどうなるのか。あるいは日本に暮らす約七一万人の中国人はどのような行動をとるのか。中国が伝統的にゲリラ戦法の国であり、二〇一〇年に中国は国防動員法を成立させているので、有事の際は、国内外の民間人や民間企業は国防に動員される。国内では外資系企業も除外はされない。

次のページ一九七二年の施政権返還以来、続けてきた尖閣の実効支配が揺らぐことがあってはならない

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