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婚活って、もう古くないですか?

現在観測 第8回

フランスで見つけた素の自分と恋

 東京で必死になって婚活していた頃の私は、その必死さのあまり男性から引かれていたのだと思います。

 それが、日本の外で自分の住みたい場所を見つけ、人目を気にせず生きられることで肩の力も抜け、ようやく素の自分になったとき、すんなり恋ができました。そして、結婚が終わりではないことも、見えてきました。

 フランスには「婚活」という言葉はありません。そもそも「結婚」に対する考え方も制度も日本とは大きく異なります。フランスでは日本でいう「事実婚」を法的に認める「PACS」(パックス)という制度があります。フランスでは「結婚」してしまうと離婚手続きが面倒ですが、「PACS」ならば別れる際、片方どちらかの意思でカップル解消になるというお手軽さです。

 私の友人カップルの中には、「PACS」も「結婚」すっとばして「今、子供を作ろうとしてるんだ?」と平気で報告してくるのもいて、だからといって誰も驚くわけではありません。その2人が好きなスタイルで人生を一緒に歩んでいる、それだけの話なのです。

 もちろん、正式な結婚を望む人もいますが、事実婚すらせず子供を持つカップルは珍しくないのです。 結婚をしないからといって周りからとやかく言われることも日本ほどありません。

 結婚より、恋。年齢問わずそういう傾向があると思います。

 出会いを求める人たちは、最近 インターネット・サービスを利用することも少なくありません。日頃から、こういったサービスのテレビCMもよく見られるほど浸透しています。「出会い系サイト」という陰気な雰囲気は一切ありません。

 他にもパリでの出会いについてお話すると、ちょっとした日常の中に出会いがあり、それが恋に発展するということでしょうか。

 例えば、パリの街中に設置されているレンタル自転車の駐輪場で出会ったカップルの話。

 パリジャンたちはよくこのレンタル自転車を使います。私も使い終わった自転車を駐輪するときに、ちょうど利用したいと思っていた人が「その自転車の調子いいですか?」と、声をかけてきて、その自転車を借りて行くなんてことは日常茶飯事。件のカップルは、このちょっとした会話がキッカケとなっておつきあいを始めたそうです。

「婚活」という言葉がないこの街には、色々な恋や愛の形があるし、生き方もバラエティーに富んでいます。だからこそ、私にとって精神的に楽に生きられる場所なのだと思います。

 もちろん、パリが日本より良いと言っているわけではありません。海外生活の大変さも当然あります。ただ、生活の面でいうと日本での生活も同じくらい大変なことがあるので、海外も日本もそうたいして変わらないのではとも 思っています。

 恋がしたい、結婚がしたいのに出会いがない。そう本気で苦しんでいる人がいるならば「日本の外に出るっていうのも選択肢の一つとしてあるよ」と言いたい。なにも少ない選択肢から選ぼうとして見つからず苦しむくらいなら、何倍も選択肢と可能性が広がる外に出ていけばよいのです。

「外国語ができない…」なんていう声もよく聞きますが、その気になればなんとかなるものです。恋をすれば、語学の上達が早いというのはよく聞く話。

 実は、私が大学時代に唯一落とした科目が「フランス語」でした(笑)。それがフランス人と恋をすると心に決めて、ゼロからフランス語を勉強したのです。あとは、やる気しだい。ダメだったらまた日本に帰ってくればいいのですから。

 

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中村 綾花

なかむら あやか

ラブジャーナリスト、ライター。1980 年福岡県生まれ。県立長崎シーボルト大学(現・長崎県立大学シーボルト校)国際情報学部情報メディア学科卒。2010 年に「世界婚活」プロジェクトを立ち上げ、世界婚活の旅へ。2012 年、世界婚活中に出会ったフランス人と結婚し、現在はパリにてLOVEを調査中。著書に『世界婚活』(朝日出版社)がある。

cakesで「パリジャン十色」、AMで「結婚と幸せの方程式」を連載中。

ブログ:「KONKATSU in the world」


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