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「人工知能は、人類の仕事を簡単にうばえるほど有能ではない」 京大教授がAI万能説を斬る!

『アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか』より紹介

 ◆ロボットは人間との連携作業は苦手

 私は工事現場を見るのが大好きで、歩いていて何かの工事現場に出くわすと、しばらく立ち止まって眺めていることも多いのですが、足場を組む人たちの作業などはとてもとてもロボットには無理ではないかと思われます。複数の人間がタイミングを合わせて重いパイプを投げあげたり、下に落としたり、それを受け取ったりという動作は、まるでサーカスのアクロバットのようなのです。
 つまり、物相手でも他の多くの人との連携が必要になるような仕事はまだロボットには無理だということです。そもそも自然言語で段取りを決めたり、意識合わせをしたり、作業途中でもタイミングを合わせるために声をかけあったりしなければなりませんから。

 それでは、肉体労働ではない、オフィス・ワークが危ないのでしょうか? たしかにオフィスで現在行われている仕事の中には案外「単純作業」が多いかもしれません。計算機に入力する前に、入力データをある形に揃える仕事とかです。なんでこんなつまらない仕事を人間がやらなければならないんでしょう! これではまるで「計算機に人間が使われている」みたいだという類の仕事です。しかし、それらは本来、人間がやるべきではなく、システムや計算機のほうをもう少し賢くして、人間をその仕事から解放してあげるべき仕事なのではないでしょうか。

 したがって、人間を丸ごと置き換えるというような劇的な変化はあまり起こらないと私は思います。それよりもオフィスでは仕事の仕方が変わり、今までよりもより知的な仕事に多くの時間を割くことができるようになるというのが、私のイメージです。

ベスト新書『アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか』より抜粋
 

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  • 斉藤 康己
  • 2016.10.08