日本人の中には、中国よりも米国に反感を持つ人たちも少なくないが、私はこの「赤い帝国」のほうにより脅威を感じる。なぜなら中国のいま行っている思想統制や言論弾圧、人権弾圧は世界でも屈指の激しさであり、法治の下の平等などは存在しない。中国の価値観とルールに従わねばならない日を想像するとぞっとしないか。私ならば、この「赤い帝国」の野望を阻みたい。

 だが、ここにきて赤い帝国にもいくつものアキレス腱、リスクが存在することが明らかになっている。党内部の権力闘争、暗殺、クーデターの可能性、経済崩壊、大衆の不満……。もっともこうしたリスクは中国にとってのリスクというだけでなく、日本を含む国際社会にも大いなるリスクである。その野望は阻みたいが、かといって彼らが滅ぶ日が来れば、間違いなく日本にも負の衝撃が襲いかかる。

 では日本はいったいどうすればいい? 何ができる? そもそも、中国のいまの内政や外交、軍事における思想や行動や戦略を日本人は理解しているか? まずは、そこからだろう。本書を読んでいただければ、習近平政権が今、どのような戦略を持って、何を目指しているか、実際に何をやっているか、どんなリスクを抱えているかが、おおざっぱながらつかめると思う。

 それを知れば、おのずと日本側が内包するアキレス腱、リスクも見えてくるだろう。読者の忙しい時間を少し割いていただいても無駄にならなかったと思える内容を詰め込んだと自負している。最後まで読んでいただきたい。

※福島香織著『赤い帝国・中国が滅びる日』新刊発売記念、集中連載!

 

著者略歴

福島香織(ふくしま・かおり)

1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。共著も多数。