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炭水化物抜き、糖質制限、ロカボ……何が正解?

『医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣』発売記念コラム6

特に健康に気をつかっているわけではないのに、元気で長生きしている人はどこか違うのか? それは日々の基本的な生活習慣にあった。多くの患者を見る町医者であり、ベストセラー本の著者である長尾和宏先生が、90代を元気で過ごす人から得た、超基本の生活習慣とは。

■ベストは「おかずを多く、ご飯は少なく」

 

 炭水化物抜きダイエット、糖質制限、低糖質、ローカーボ、ロカボ……。
最近ではこうした言葉をよく耳にします。どれも似ていますが、少しずつニュアンスが違っていて、私が勧める「おかずを多く、ご飯は少なく」に最も近いのは、「ロカボ食」です。

 まず、炭水化物抜きというのは、言葉どおり炭水化物を抜いた食事のこと。炭水化物には糖質だけではなく食物繊維も含まれています。減らしたほうがいいのは糖質だけでいいのです。

 では、糖質制限や低糖質はと言えば、糖質だけを減らそうという食事方法なので、炭水化物抜きよりは良さそうです。ただ、糖質「制限」と言われると、「食べてはいけない」と禁止されているような気がしますよね。「●●してはいけない」は、ストレスになるのであまり使いたくない言葉です。

 その点、「低糖質」は、糖質を食べてはいけないと言っているわけではなく、「糖質を減らしましょう」という考え方。それを英訳したのが「ローカーボハイドレート」で、「ローカーボ」はその略です。

 さらに「ロカボ」というのは、『糖質制限の真実』(幻冬舎新書)などの著者である山田悟先生らが提唱している概念で、「緩やかな糖質制限」のこと。
山田先生は、ロカボ食について次のように定義しています。

・一食の糖質は20~40グラムにする
・朝、昼、晩の食事とは別の間食では糖質10グラムまで
・トータルで一日の糖質量は70~130グラムに

 いま、日本人の平均糖質摂取量は、一食で90~100グラムほど、一日で270~300グラム程度だそうです。つまり、ロカボ食の2、3倍。だから、ふだん食べている糖質量の半分弱に減らしましょうというのがロカボ食なのです。

 低糖質やローカーボもいいのですが、「ロカボ」は「緩やかな糖質制限」という考え方もいいですし、何より響きがいい。

 カタカナ三文字と言えば、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の略の「メタボ」、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略の「ロコモ」もそうです。

 メタボは動脈硬化を促して心臓病や脳卒中のリスクを上げるものとして、ロコモは要介護や寝たきりのリスクを上げるものとして広く知られるようになりましたが、それは響きがよく、覚えやすく言いやすかったのだと思います。

 ロカボも同じカタカナ三文字なので、覚えやすいのではないでしょうか。
ただ、ロカボ食では「一日の糖質量は70~130グラムに」と定義されているものの、自分が食べたものに糖質が何グラム入っているかわからないことは多いでしょう。

 そのときにはざっくりと「おかずは多く、ご飯は少なく」「ご飯は半分くらいに減らそう」と考えてもらえればオッケーです。

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長尾 和宏

ながお かずひろ

1958年、香川県生まれ。医師、医学博士。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。84年、東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年、兵庫県尼崎市で開業、2006年より在宅療養支援診療所となり、外来診療と24時間体制での在宅診療を続ける。日本尊厳死協会副理事長、日本慢性期医療協会理事、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本禁煙学会専門医、日本在宅医学会専門医、日本内科学会認定医、関西国際大学客員教授、東京医科大学客員教授。近著に『病気の9割は歩くだけで治る! 』『認知症は歩くだけで良くなる』(ともに山と渓谷社)、『がんは人生を二度生きられる』『その医者のかかり方は損です』(ともに青春出版社)、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など多数。


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  • 長尾和宏
  • 2016.10.21