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平均寿命ナンバーワンからの転落…「沖縄ショック」をもたらした新しい食文化による悪影響

糖尿病専門医・牧田善二氏が考える、一生涯健康で生きるために必要なこと②

◆「二つの沖縄」が教えてくれること

 

 沖縄でも、大豆を原料にした「島豆腐」と呼ばれる豆腐を料理によく使う。『ブルーゾーン』で紹介されている沖縄の長寿地域は、本島南部の那覇近辺とは逆側の北部にある。
 この本でも触れられているが、沖縄には二つのグループが存在している。 
 一つは、伝統的な暮らしを守って、一〇〇歳を超えるような長寿者をたくさん輩出しているグループ。
 もう一つは、新しい食文化に関心をもち、糖尿病をはじめとした生活習慣病を増やしているグループだ。彼らは、沖縄名産のゴーヤやモズクよりも、アメリカから入ってきたファストフードやランチョンミートを多食している。
 かつて沖縄県は、男女ともに平均寿命ナンバーワンを誇っていた。しかし、いまはその影もない。とくに男性は、どんどん順位を落としていき、二〇〇〇年には二六位にまで転落し、「沖縄ショック」と呼ばれたほどだ。 現在、沖縄は最も肥満者が多い県となり、心臓疾患で早死にする人の率も一位である。

 この事実は、逆に、生活スタイルがいかに寿命を左右するかということを、私たちに教えてくれている。

◆豆類、ナッツ類を常食する

『ブルーゾーン』で取り上げられていた長寿者の多い地域では、豆が多食されていた
 豆はさまざまな栄養素をバランスよく含有し、食物繊維も多い。また、サポニンやポリフェノール、イソフラボンといった抗酸化物質も多く含まれるため、長寿に寄与していると思われる。
 日本人は、豆腐や納豆など大豆製品は普段からよく口にする。ビールのつまみに枝豆や空豆も食べる。しかし、そのほかの豆については甘く煮ることが多い。サラダに加えたりスープにしたりと、もっと多用な食べ方をしてもいいと思う。
 また、ナッツ類も積極的に摂りたい食品だ。
 ナッツには食物繊維や各種ビタミン、抗酸化物質が含まれるものが多い。少量で満足感が得られるから、小腹がすいたときなどのおやつ代わりにおすすめだ。
 ただし、塩味のついていない素焼きのものを選ぶようにしよう。
 カカオもナッツの一種である。カカオを原料とするチョコレートは、ポリフェノールが多い優れた食品だ。世界一長生きした、ジャンヌ・カルマンさんの大好物でもあった。ただ、砂糖の含有量が多いのが問題なのだ。
 よく、「チョコレートを食べると吹き出物ができる」と言う人がいるが、吹き出物の原因はカカオではなく、それに添加される砂糖だ。
 だから、砂糖が少なくカカオ成分の多いものを選ぶといい。私は、自分の患者さんにカカオ七五パーセント以上のものをすすめている。

『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)より抜粋>

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糖尿病専門医。AGE牧田クリニック院長。1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事したあと、米国ロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病合併症の原因であるAGEの研究を約5年間行う。北海道大学医学部講師、久留米大学医学部教授を歴任し、2003年に東京・銀座に「AGE牧田クリニック」を開設。これまでにのべ20万人の患者を診ている。著書に「糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい」(講談社+α新書)、「人間ドックの9割は間違い」(幻冬舎新書)など多数がある。



 


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  • 2016.05.10