■“崩していない”のに勝利したカマタマーレ讃岐戦

 ということは、(全失点のなかで割合が低い/数が少ない失点である)「崩された失点」であるかないか、に焦点を絞っていては、いつまで経っても失点の多くの原因を探ることはできないということになります。

 ここにサッカーの表の部分に隠れた、裏の面白さがあると思います。

 確かに、僕たちはまずボールを保持し、相手を崩しにかかります。どんな相手であっても、まずピッチに立ち、肌を合わせてその肌感覚みたいなものを感じ、その上でどのように相手を崩そうかと考えていきます。

 しかし、「崩す」「崩される」ばかりがサッカーではありません。崩すことが難しくても相手を攻略することはできるし、崩されなくても注意を怠れば簡単に相手に出し抜かれてしまうのです。

 攻めているときのリスクマネージメントやセットプレーの集中は言うまでもありません。それ以外にも、味方のミスへの備えやカバーリング、瞬時のポジション修正など、どちらがそこにほころびを見せるか、試合中のせめぎ合いというものはそうしたところでも行われています。

 お盆に行われた”瀬戸大橋ダービー“、カマタマーレ讃岐との一戦は、その意味でとても面白い試合でした。
 その試合、僕たちファジアーノ岡山に対し、カマタマーレは明確に対策を練って乗り込んできました。「崩す」という観点からすれば、カマタマーレのほうが狙い通りに戦うことができていたと思います。しかし、結果は3-1でファジアーノが勝利しました。

 僕たちは、押され気味だった前半に、こぼれ球を拾った金珍圭選手が見事なロングシュートを決め、同点に追い付かれた後半には僕のクリア気味のボールが結果的に起点となって二点が生まれ、カマタマーレを突き放すことができました。二点ともこぼれ球に対し、瞬時に相手のポジションを把握し、相手が処理しづらく、“事故”が起こりそうなポイントに落とすことができました。
 また、実は一時同点に追い付かれた場面(カマタマーレの得点シーン)は逆に、僕が味方選手と重なるようになったことで喫してしまった失点でした。

 つまり、この試合で生まれたゴールはいずれも、「崩す」「崩される」では語れない形だったということになります。
 ここにサッカーをする上で、あるいは語る上で忘れてはいけないポイントがあると思います。

 相手を翻弄し、“崩して”得点し、圧倒して勝つ。

 サッカーをする上での理想です。そのためにボールコントロールを磨き、味方と連携を深め、精度を上げていきます。
 一方で、得点までの道筋をもう少し幅をもって想像することも大事です。

 うまく試合を運べなくても、「崩せない」「パスが合わない」「いい攻撃ができない」と嘆く必要はありません。その中でも勝ち筋はいくらでも見つけられるのです。
 では、その勝ち筋の見つけ方とはどんな方法があるでしょうか。