ペナルティ制度が作り出した「売れる」社風<br />「反対意見が多い状況で功を奏したある作戦」~開発者に訊く!ガリガリ君/赤城乳業 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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ペナルティ制度が作り出した「売れる」社風
「反対意見が多い状況で功を奏したある作戦」~開発者に訊く!ガリガリ君/赤城乳業

あの異色ヒット商品はどうやって生まれたのか?

「そもそも新フレーバーの試作品は、何度も試作を重ねることで完成度を高めていきます。だから、ほかの試作品の完成度を1、2割程度にとどめ、コーンポタージュだけ完成度を8、9割に高めておいたんです(笑)」(岡本氏)

 この結果、予選会を見事に勝ち抜いたコーンポタージュは、役員へのプレゼンでも当時の社長(現・会長)から「Very Good!」の言葉を引き出した。かくして、2012年9月に発売された『ガリガリ君リッチ コーンポタージュ』は大きな話題を呼び、わずか数日で売り切れに。翌年春の再販では通常フレーバーの数倍を売り上げ、ガリガリ君シリーズ全体の売り上げも過去最高を記録することとなった。

「役員からの反対意見も多くありましたが、社長による鶴の一声で決定しました。社風が“異端児”ということもあり、新商品に対する意志や挑戦を買っていただいたのだと思います。他企業だったら、きっと怒られていたかもしれません(笑)」(岡本氏)

 

 ◆『本当に売れるの?』と聞かれて心がブレないために 

 岡本氏がコーンポタージュを開発したのは入社3年目のこと。若くしてヒット商品を手掛けた背景には、社員の失敗に対する同社の対応も大きいようだ。

「商品が失敗して損失を生んでも、ペナルティは“注意、あるいは罰金1万円”程度です。2014年に発売した『ガリガリ君リッチ ナポリタン味』は約3億円の赤字を出しましたが、関わった社員に降格や減給といった処分はないんです」(岡本氏)

 ペナルティ内容は社内で公表されるが、公表したことで“チャラになる”。公表された社員も責められるのではなく“ネタにされる”といった雰囲気が築かれている。

「私自身もこれまで何度も失敗してきました。売れると思った商品が全然売れなくて在庫の山を抱えたり、上司への報告を怠り商品開発テストに多額の費用が必要だと発覚して怒られたり…」(岡本氏)

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