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万病の原因は“口内に潜むカビ!? 「カビ」の正体を知り健康長寿に!

「口内健康」が健康長寿のカギを握っていることは、意外と知られていない。口内健康を阻害する要因として誰しも思い浮かべるのは虫歯や歯周病だが、その陰にはカビの存在があった。口内のみならず全身の健康を脅かすカビの正体に迫る。

健康な歯に病をもたらすカンジダとは何者か
 

 

 歯周病の原因であるカンジダ。性感染症の原因として紹介されることもありますが、真菌の一種で、カビの仲間です。

 実はカンジダは、口腔内や食道、胃、腸などにいる微生物のひとつで、口の中にカンジダがいない人は稀です。量の多少にかかわらず、誰しもが持っているのです。とはいえ、本来は乳児には存在しないもので、後天的にさまざまな経路で体内に取り込まれるのです。中には、生まれながらにカンジダを持っている人もいますが、それは、母親がカンジダ症にかかっており、産道感染したケースです。

 カンジダに起因する病気はじつに多岐にわたります。2014年のアメリカでの調査によれば、アメリカ人の80%がカンジダ菌による何らかの不定愁訴や慢性疾患で悩まされているという結果がでているほどです。

万病の元凶はカンジダである

 口の中のカンジダによって起こる歯周病ですが、口の病気は口の中だけのもの、と考える方が多いのではないでしょうか。じつは、その歯周病が全身の病気にも影響を及ぼすことがわかってきました。

 なかでも糖尿病は、歯周病と密接な相互関係にあることが明らかになっています。その関係について、日本糖尿病学会や日本歯周病学会、さらに国も着目。口の中のケアや治療を促しています。歯周病と糖尿病はどちらも代表的な生活習慣病で、歯周病がある人は糖尿病の治療が困難になりやすく、糖尿病がある人は歯周病になりやすく重症化しやすいといわれています。

 歯周病が口腔内のみならず全身の病気に関与するケースは、糖尿病だけでなく、リウマチも挙げられます。リウマチの根本原因はまだ十分に解明されていませんが、関節リウマチで生じる関節の腫れと痛みは、免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。免疫が低下してしまうと、カビや細菌の行動も活発化します。そうなれば当然、さまざまな病気を引き起こす可能性も高まるでしょう。

 リウマチを起こす原因として歯周病が関与している可能性が高いとの研究結果が、リウマチ専門医から発表されました。その発表とは、歯周病を治療すると、リウマチ薬が効きやすくなるというものです。

 実際に私が治療した歯周病患者の中にも、リウマチなどを患う方が多くいました。その方々にファンギゾンシロップという抗真菌剤を用いた歯周病治療を行うようになってから、歯周病だけではなく、リウマチなどほかの病気が改善した例をいくつもみてきました。

 そこで調べてみると、カンジダが関係する病気は驚くほどたくさんあるのです。体内のあらゆる場所にカンジダ由来の病が発症することがわかりました。カンジダの蛋白分解酵素が血液中に入り、血管内膜のコラーゲン繊維の生成を阻害して、物質の交通路が正常でなくなり、酸素、栄養素が毛細血管から組織へ移行できなくなることで酸素濃度が低くなる低酸素状態が出現して、細胞が死滅することで、多くの症状が発症するのです。

「病は口より入る」といわれているように、口の健康が全身の健康を支配していると推定されます。カンジダを完全に除去し、口をきれいな状態に保つための医療が、今、直ちに行われなければならないのです。
 

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河北 正

かわきた ただし

河北歯科医院

院長

1959年、東京医科歯科大学卒業。64年、神奈川県茅ヶ崎市に河北歯科医院を開業し、50年以上にわたり全国各地から訪れる患者の診療に取り組みつづけている。最新の著書は『「口内健康」で一生病気にならない体をつくる』(幻冬舎、2016年)。

 


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