カープ優勝のために欠かせないキーマン<br />「神って」なくても、相手チームからもっとも警戒される男 | BEST TiMESコラム

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カープ優勝のために欠かせないキーマン
「神って」なくても、相手チームからもっとも警戒される男

25年ぶりの優勝へまい進する広島カープ。ジャイアンツの猛追を振り切るために不可欠な「女房」の存在

■他球団が嫌がる石原のリード

 他球団のスコアラーが認めるのは、石原の洞察力だ。
「打者の得意なところ、苦手なところを知っている。その上で球に対する反応や、踏み込む位置を見ている。本当によく見ている。うちの若い捕手も見て勉強してもらいたい」。

 投手の状態は、その日によって違う。石原はその日良くない球の使い方がうまい。見せ球として使いながら、中盤にはカウントを取る球になっていることもある。「それは投手によって違うし、できる投手でもその日によって違う」と石原。
 “その日によって違う”投手の最もいい投球を引き出している。

 石原のリードによって覚醒したのが、新人の岡田だろう。4月28日ヤクルト戦は3者連続を含む4四球を与えるなど65%以上がボール球で、1回持たず、わずか35球で降板した。
 速球には力があり、打者が真っすぐと分かっていても空振りする切れもある。だが、制球に難があった。
 2軍降格を経て、制球力の向上は見える。だが、石原は新人相手にバッテリーを組んだとき、ミットを真ん中に構えた。真ん中だけでなく、球をひっかける傾向にある日は、わざと高めにミットを構える。そうすることで調整しながら、好投を引き出している。岡田は真ん中にミットが構えられたときの意味をこう解釈している。
「制球を気にするなというよりも、お前の球を投げてこいという意味があると思っている」
 再昇格後、安定した投球を続けて自信を深めていった右腕は今、チームの確かな戦力となっている。

 バレンティンの振り抜いたバットが石原の後頭部を直撃するアクシデントも、幸い離脱は6日間で済んだ。頼れる扇の要はチームの中で替えの利かない選手の1人。広島投手陣は先発、中継ぎともに失点を重ねる試合も増えた。25年ぶり優勝のためには最後のひと踏ん張りが必要だが、残された力をベテラン捕手のタクトで最大限に発揮させてくれるに違いない。

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前原 淳

まえはら じゅん

1980年7月20日、福岡県生まれ。現在は外部ライターとして日刊スポーツ・広島担当。'03年に大学を卒業後、上京。編集プロダクションで4年間の下積みを経て、2007年に広島の出版社「サンフィールド」に入社。「アスリート」編集長などを歴任し、2014年12月にフリー転身。著書に、広島カープが16年ぶりにAクラス入りを達成した2013年の奇跡を描く「カープストーリー」(KKベストセラーズ)がある。




 



 


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