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怒りのミニマリズム

「最小限主義の心理学」不定期連載第4回

 ■自分を主張しないことで、受け入れる

 

 具体的にはクラクションを鳴らさないこと。

 逆に、鳴らされても無視すること。

 

 タオイズムで全ては解決しないけれど

 

 自分の考えと違う相手がいても、受け入れて一緒に動こうというのがタオイズムだけど、イスラム国と一緒に動けるのかというと、難しいなと思ったりもする。

 

 先ほどのチンピラとも、一緒に走れるのかというと、うーんとなる。

 

 だけども、タオイズムの「受け入れる」という姿勢は、あくまで素晴らしいと考えている。

 部屋にモノを飾らないことで、人を受け入れる。

 自分を主張しないことで、受け入れる。

 

 つまり、私も「ミニマリズムは絶対正しい」と表面すると、そうは思っていない人を排除するわけで、そういうことは言わないようにしようと考えるようになった。

 

 自分の意見を正しいと強弁しなければ(今しているかもしれないけれど)、競争にはならない。

 勝ち負けにならない。

 

 道路で「勝ちたい」と思わなければ、勝負は生まれない。

 

 怒りも生まれない。

 

 ■でも、実行するのは難しい…

 

 では、それを一般生活、仕事に応用できるのか。というと、わからない。

 満員電車で隣の男性に肘でぐっと痛くなるまで背中を押されて、我慢できるのか。

 勝たせてあげられるのか。

 

 大事な仕事で競争案件が生まれ、「競争しない」と言い続けられるのか。

 

 とても合わない人と仕事をして、受け入れられるのか。

 

 結局は、何か問題が起こるとき、「私が正しい」という考え方に執着し、表明し、打ち負かそうとしているのかもしれない。

 理由は、何かを守るため。

 

 本当は、何かを守るために、自分の考え方を隠し、反対意見の相手を受け入れながら生きていくべきだとタオイズムは解いている。

 

 実行できていないから、もう一度自分に言い聞かせる。

 もしあのチンピラが自分に喧嘩を売ってきたら、

「君の勝ちだ。渋滞でみんな大変だけど、同じ車好きとして一緒に走ろう」と涼しい顔で言ったら、相手はどんな顔するだろう。

 実際は、怒りでプルプルするけど。

 

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沼畑 直樹

ぬまはた なおき

ミニマリスト。テーブルマガジンズ代表。元バックパッカー。

2013年、「ミニマリズム」「ミニマリスト」についての記事を発表し、佐々木典士氏とともにブログサイト≪ミニマル&イズム(minimalism.jp)≫をたち上げる。 著書は、小説『ハテナシ』、写真集『ジヴェリ』『パールロード』(Rem York Maash Haas名義)など。


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