実はババア研究者なんですよ!

中川 適菜さんは、人生について、どうお考えですか?

適菜 人生とは?

中川 適菜さんは、厭世観を出しまくっている人なんですよ、世間的には。でも、この人は最後の最後、耄碌した頭で人生観を書くと。そこには愛も含まれる。適菜さんが最後の筆を振り絞ったものをオレは読みたいね。

適菜 私は最近、耳も遠くなってきたし、そのうちポシャると思います。でも先日、もし、60とか65歳まで生きていたら、テレビに出てもいいと思ったんですね。

中川 うん。

適菜 そこまで生きていたら刺されてもいいやと思って。今は刺されたくないけど。

中川 今ね、ぜんぜんそういう答えがくるとは思わずに聞いたんですよ。テレビのオファーは結構来たんですか?

適菜 20本ぐらいかなあ。NHKからもきました。

中川 そりゃくるでしょ。でも断ったんですか?

適菜 全部断りました。あと、スタジオジブリからも来ましたけど。

中川 そうですかあ。

適菜 あと、変わったところだと、渡部昇一との対談とか。

中川 それは違うでしょ!

適菜 ははは。

中川 今は事務所があったりするんですか? マネジメント会社みたいな。

適菜 いや、何もないですよ。

中川 ないんですか。じゃあオファーは個人の携帯に来るみたいな。

適菜 ええ。

中川 最近ムカつくんだけど、たいしたことがないやつがわざわざマネージャーを雇ったりするじゃないですか。

適菜 そうなんですか。

中川 「マネージャーがいます」とかいうバカがいるわけ。「マネージャーを通してくれますか」と言いたいだけで雇うバカがいる。

適菜 そういう寓話がありますね。門番を雇ったので門を作らなければならないと。

——実は適菜さんはババアウォッチャーなんですよ。いつもこんなババアがいた、あんなババアがいたと本当に目に浮かぶような表現で語ってくれるんです。

中川 おばちゃんの処世術なら聞きたいね。52歳のババアがなぜかモテるとか。

適菜 ババアは実は反近代なんですよ。この話をすると、また長くなりますけど。

中川 いいですよ。

適菜 私は『いたこニーチェ』という小説を書いたんです。これは「ババアとはなにか」という話なんですよ。ニーチェの『善悪の彼岸』の冒頭に「真理は女である、と仮定すれば、どういうことになるか?」とあるのですが、哲学者はついにそれをてなづけることはできなかったと。ババアならなおさらですよね。教条的な左翼=近代主義者が、むしろ本質的な部分で近代を阻害しているんじゃないかと。まあ全部話すと長いんですけど。

中川 面白いと思う。もっとババアのこと書いてくださいよ。オレはずっと適菜さんのことは好きでしたからね。世間からは嫌われているかもしれないけど、オレは好きだ。

適菜 世間が腐っているなら、世間からは嫌われたほうがいいじゃないですか。

中川 当たりまいですわ~。世間から嫌われているやつはいいやつですよ。

適菜 腐っているのはお前らだろってね。

中川 そう。

適菜 三島由紀夫もキチガイだと思われていたけど、でも時代がキチガイだったんです。キチガイな時代に真っ当に考えると、キチガイだと思われるんです。でも、社会が狂っている限り、世間からいくら批判されようが、気にする必要はないと思っています。

中川 その通りですよ。

 

(終了)

 

(プロフィール)

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973年東京都立川市生まれ。1997年一橋大学商学部卒業、同年博報堂入社、CC局(コーポレートコミュニケーション局)配属。2001年、サラリーマンとして通用しないと諦めて退社。無職になる。その後、ライター、雑誌編集者を経て、2006年にネットニュースの編集者になる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『節約する人に貧しい人はいない』(幻冬舎)、『仕事に能力は関係ない』(KADOKAWA)等多数。6月9日に20代30代読者に向けた世渡り指南書『好きなように生きる下準備』(ベスト新書)が発売されたばかり。

適菜 収(てきな・おさむ)

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』(講談社)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志・中野信子との共著『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』(文春新書)など著書多数。最新刊『死ぬ前に後悔しない読書術』が好評発売中。