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有名な京都太秦、地名の由来は、渡来人?聖徳太子??

筑波大名誉教授、谷川彰英先生の大ヒットの『地名の由来』シリーズ、京都編から「太秦」の項をご紹介いたします!

太秦という地名が渡来人の秦氏に由来するということを否定する人はいません。しかし、秦氏と太秦との関連を問うていくと、さまざまな説があって、確定することは難しいのです。

 まず、「秦」と書いて、なぜ「ハタ」と読むのか、という点が問題になります。そのいくつかを紹介しましょう。

① 秦氏が生産した綿や絹が肌にやさしいから「ハタ」と読んだという説

② 朝鮮語の海を意味するpataに由来するという説

③ 古代朝鮮語のhata(大・巨・多・衆の意)に由来するという説

 結局、海を渡って大集団で渡来した加耶(羅)系の人たちを、海を渡って来た意味のpataと、多いの意味のhataの、二重の意味をこめて、「ハタ」といったのではないかと考えられています。

 秦がなぜ「ハタ」になったかは、一応わかったことにしても、難物は「太秦」です。

 なぜ「太秦」と書いて「ウズマサ」と読むのか。

『日本書紀』によると、秦の一族がばらばらに散らばっていたので、秦酒公(はたのさけきみ)はうまく統制できなかった。そこで天皇が詔を出して秦酒公のもとに馳せ参じるべしとしたので、秦氏は感謝の気持ちで天皇に絹を献上し、庭にうずたかく積んだので、「禹(う)豆(つ)麻(ま)佐(さ)」という姓を賜ったといいます。

 これが、これまで一般にいわれてきた通説です。
   また、聖徳太子の「太」と秦氏の「秦」をくっつけただけだという人もいるのです。

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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