私たちの社会はいつまで「結婚」を守り続けるのか |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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私たちの社会はいつまで「結婚」を守り続けるのか

少子化時代にふさわしいパートナーシップとは

恋愛結婚はあるべき姿か

  現在の日本社会では、家族が多くを負う。出産や育児はもちろん、結婚していることが社会的な信頼の担保になる。核家族では、精神的なつながりもすべて家族に集中する。
 本来的には結婚していなくても出産はできるし、非婚の同性カップルが容易に賃貸住宅を借りたり住宅ローンを組めてもいいはずだ。また、介護や育児などのケアワークを家族で抱え込まず、アウトソーシングすることが当たり前になってもいい。
 だが、今日の「不倫バッシング」を見る限り、結婚と家族の聖域化はますます進行しているようである。

 もちろん、結婚の「重さ」や経済的要因だけが、婚姻数低下の原因とはいえない。 若者論やトレンドに精通する牛窪恵さん(有限会社インフィニティ代表取締役)は、若者の恋愛に対する姿勢の変化を指摘する。

「バブルの時代は、フラれても恋愛すること自体が楽しかった。モテるために車を買ったりもした。しかし今日の若者は経過より結果。すなわち結婚に結びつかない恋愛は無駄だと考えている」。
 そのため「恋愛結婚したいが、恋愛しない」という状況が生まれているという。

 先出の筒井氏によれば、かつては家と家が取り決めた結婚の外にあるものが真の恋愛とみなされた時代もあったという。また、シンポジウムのモデレーターを務めた残間里江子氏は、「かつては恋愛結婚よりもお見合いが格上だった」と実感を込めて語る。「お見合い話が来る、ということはちゃんとした家庭である証拠。『ウチはお見合い話が来るような家だわ』と自慢になるような話だった」そうだ。
 しかし、あるときから「お見合いはなんとなく恥ずかしい」という風潮が出来上がり、「恋愛至上主義」が一般化するようになった。
「恋愛の目的は結婚して標準家庭を築くためである」という価値観が蔓延する限り、結婚離れも少子化も止まらないのではないだろうか。

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