なんと優勝、胴上げメンバーに……<br />お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈16〉 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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なんと優勝、胴上げメンバーに……
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈16〉

ひとつの声でチームが変わる。前期優勝を果たすなかで見つけた野球の面白さ

◆キャプテンにお願いされたこと

 勝ち試合が一転、悪夢のような大量失点での敗戦にチームの士気は下がった。翌日の高知ファイティングドック戦を1対7で、日をまたいで再び首位決戦、徳島インディゴソックス戦を5対9で落とし、そのまま3連敗を喫してしまうのだ。
 まさにこのときの雰囲気が、「優勝は厳しいかもしれない」というネガティブなものだった。首位の座を徳島に明け渡し、なかなか明るい話題が見つからなかった。

 チームは変化を欲していたのだろうと思う。
 停滞した雰囲気のなかで、なにができるのか。僕自身はベンチで声を出し、戻ってきた選手の話を聞いたりしながら考えた。
 そんななかで、チームを支え続けてきたキャプテンの鶴田都貴選手が僕に声を掛けてきた。鶴田選手は、2013年からこのチームでプレーし、キャッチャーとしても僕の球を受けてくれるチームの要だ。

「ソウスケさん、声出しをやってくれませんか?」

 試合前、選手たちは必ず円陣を組んで、誰かがちょっとした話をし、みんなで声を合わせる。気持ちをひとつにするためだ。愛媛マンダリンパイレーツの場合は、キャプテンの鶴田選手が開幕からその役目を担っていた。
 その役目をやってほしいと言うのだ。僕は快諾した。試合に出られるか出られないか分からないような立ち位置だったけれど、だからこそ見えるものがあるんじゃないかと思ったからだ。

 5月17日の徳島インディゴソックス戦。4連敗は避けたい、重要な一戦。円陣で僕は「ベンチから見た景色」について話しをさせてもらった。
「ベンチから見ると負けている間は、後手後手に回っているように感じた。野球は先手が大事。攻めることが大事だと思う。攻撃はもちろん、守備でも攻めていこう。受け身になったらだめ。勝とう!」
 それが功を奏したのか分からないけれど、この日チームは2対0の快勝。優勝戦線に踏みとどまった。
 この一勝が呼び水になり、以降は5戦で3勝1敗1分。僕の声出しは負けるまで続いた。のちのち選手から「ソウスケさんの言葉、言われてみればそうだなって思いました」と言ってもらえて、少しはチームの役に立てたかな、と思った。

 実際のところ、僕の言葉に効果があったかのかは分からない。
 でも、こうしたグラウンド上の野球に関係のない、ちょっとしたことがチームの雰囲気を変え、結果を変えることがある。野球の面白さを感じた瞬間だった。

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杉浦 双亮

すぎうら そうすけ

1976年2月8日東京都八丈島出身。趣味はスポーツで体を動かす、地図を見る、天気を見る。特技は、球技全般(特に野球のピッチングは芸能界1の自信)、モノマネ。



オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/360monkeys/ ツイッター:@sugiurasousuke


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