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丸太町・寺町界隈の戦国史跡(後編)

季節と時節でつづる戦国おりおり 第240回

 本禅寺さんから南に移動し、清浄華院(せいじょうけいん)さんへ。まず織田信長との交流で知られる公家の山科言継さんのお墓に参ります。

 

  朝廷の財政維持のため諸国を駆け巡った旅情派公家の、終焉の地です。

 

 そして、もうひとり朝廷の財政に多大な貢献ぶりを示した人物。 禁裏御蔵職の立入宗継さんのお墓へも。信長に上洛をうながすため、永禄7年(1564)尾張に赴いたのはこの宗継さんでした。

 朝廷の集金係の言継さんと出納係の宗継さん。このふたりが同じお寺に眠っているのには、何か生前の事情、ふたりの信頼関係のようなものがあるのではないかと思えてなりません。「我らは同志!」ってね。

 そして最後にその南隣、廬山寺へ。こちらの敷地は東端が土堤となっていますが、これは秀吉によって気づかれた御土居の跡です。

 

  高さは5mという事で、鴨川を天然の水堀とし、その内側にさらに堀を掘り、その土を積み上げ固めた土塁をめぐらせて東の守りとした秀吉の首都構想の名残を、この場所でも観る事ができます。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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