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こんなに弱くてゴメンナサイ…小田城(茨城県つくば市)の謎

“歴史芸人”長谷川ヨシテルが太鼓判を押す!?「最弱の城」

 さて、先ほどご紹介した様にしっかりと縄張りされた小田城に落城ラッシュがなぜ度々訪れたのでしょうか。その理由は、現地に行けば一目瞭然!

 なぜなら、小田城の周りは一面平野なのです!! 何と1km以上先からでも、お城の場所がわかります! つまり、遮るものがないために、大軍で攻め込まれてしまうのです!

 ただ、ここであることに気付きました。「背後に小さな山がある!ということは、小田城は住居として使っていて、戦時は後ろの山城を使っていたに違いない!」と。

 普段は麓の館のようなお城に居住し、攻められた時は後ろの山に籠って敵を迎撃する築城方法は多く用いられました。武田信玄の「躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)」などは平時の居館として使われ、背後に「要害山城」という山城を詰城として戦闘時に使用していました。

 さて、地図を眺めてみると、後ろの山は「前山(まえやま)城跡」と記されていました!

 現地の説明をしてくださった研究者の方に聞きました。
長谷川「天庵さんは、いざという時は後ろの山城を使ったんですよね?」
研究者「私もそう思ったんですけど、使用した形跡がないんですよね」

 何と!使っていない!?

長谷川「・・・・。ところで、あの櫓台、立派ですよね」
研究者「そうですね・・・。涼台(すずみだい)と名前がついています」

 櫓にしては風流なお名前!
もしかして、涼むための場所!?

長谷川「・・・・。あの、来る時に通った桜川なんですけど、天然の要害としては文句なしの川ですよね」
研究者「そうですね・・・。氏治が、土浦城へ敗走する時に利用していたようですが」

 逃走用でした!!!
これは間違いないです。

 小田城は(城主・天庵さんの影響が多大にありますが)日本史上稀に見る実績十分の『最弱の城』なのです。

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長谷川 ヨシテル

はせがわ よしてる

歴史ナビゲーター、歴史作家。埼玉県熊谷市出身。熊谷高校、立教大学卒。漫才師としてデビュー、「芸人○○王(戦国時代編)」(MBS、2012年放送)で優勝するなどの活動を経て、歴史ナビゲーターとして、日本全国でイベントや講演会などに出演、芸人として培った経験を生かした、明るくわかりやすいトークで歴史の魅力を伝えている。テレビ・ラジオへの出演のみならず、歴史に関する番組・演劇の構成作家や、歴史ゲームのリサーチャーも務めるほか、講談社の「決戦! 小説大賞」の第1回と第2回で小説家として入選するなど、幅広く活動している。NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)の第3話に一般エキストラとして14秒ほど出演。また、金田哲(はんにゃ)、山本博(ロバート)、房野史典(ブロードキャスト!!)、いけや賢二(犬の心)、桐畑トール(ほたるゲンジ)とともに、歴史好き芸人ユニット「六文ジャー」を結成、歴史ライブやツアーを展開中。トレードマークは赤い兜(甲冑全体で20万円)。前立ては「長谷川」と彫られている(特注品で1万5千円)。著書に『ポンコツ武将列伝』(柏書房刊)『マンガで攻略! はじめての織田信長』(原作・重野なおき、金谷俊一郎との共著、白泉社刊)がある。雑誌『歴史人』の人気ウェブ連載をまとめた『あの方を斬ったの…それがしです ~日本史の実行犯~』が3月19日(月)配本!


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  • 長谷川 ヨシテル
  • 2018.03.20