独裁者を反面教師に学ぶ<br />独ソ戦の現代的意義<br /> |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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独裁者を反面教師に学ぶ
独ソ戦の現代的意義

「二正面作戦」を避けるために結んだ独ソ不可侵条約をなぜ破棄したのか?

 話を元に戻すと、20世紀最悪の二人の独裁者がぶつかった独ソ戦は、当初優勢だったドイツ軍が、1943年1月には、激戦となったスターリングラードで敗れ、ソビエト軍は次々にドイツに制圧されていた都市と地域を奪還していく。その後、1944年6月6日に始まった、連合国軍によるノルマンディー上陸作戦を経て、1945年5月7日、ドイツの無条件降伏で第2次世界大戦の欧州戦線は終わる。ベルリンを陥落させたのはソ連軍である。
 欧州戦線、アジア・太平洋戦線、アフリカ・中東戦線、その他すべてを含め、第2次世界大戦での犠牲者の数は膨大である。中川氏の著書によるとこうある。

「この戦争での犠牲者の数はあまりに膨大なので、正確な数字は不明である。ジョン・ピムロット著『第二次世界大戦』によれば、戦闘員(兵士)の死者は、ソ連が750万人、ドイツが325万人、イギリスが32万6,000人、アメリカが29万9,000人で、非戦闘員の犠牲者は、ソ連が1,600万人、ドイツが360万人、ユーゴスラビアが140万人とある。さらに、ドイツのホロコーストによるユダヤ人の犠牲者が590万人。これ以外の国でも多くの戦争員が死んでいるので、アジアを含めた死者の総数は6,000万人とも推定される。また、独ソ両国合わせて兵士だけで1,600万人、民間人を含めると最大で4,000万人としている資料もある。いずれにしろ、ソ連はその犠牲者数で圧倒的だ。」

「結果としてヒトラーの野望を砕くには、ヒトラー以上に狡猾で冷酷で残忍な男が必要だったことが、20世紀の悲劇である。スターリンはヒトラーを倒したことで、世界の半分を支配してしまう。」

 21世紀の現代でさえ、人類は、前世期の悲劇を繰り返さないための英知を、まだ手に入れているとは言えない。                   (終)

 

 

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